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さあ、満里奈のお部屋だよ
しおりを挟む香りが豊かな紅茶を飲みながら、ヒマワリの種とカボチャの種が香ばしいパンを食べたわたしの胃袋は大満足した。
「満里奈ちゃん、では、お部屋を案内しようかなにゃん。部屋は二階だよ」
「ミケにゃんも一緒に案内してあげるにゃ~ん」
「シロッコちゃん、ミケにゃんちゃんありがとう」
「じゃあ、行くよ~」
チューリップ柄のワンピースに身を包んだシロッコはテクテクと歩き出した。
わたしはシロッコの後を追いかけながらこのもふもふパラダイスに住むことになったんだなと改めて実感した。
そんなことを考えているとシロッコが、「満里奈ちゃんのお部屋はここだよ」と言った。
案内された部屋は日本でいうところの六畳の洋室でイギリスの女の子の部屋だって雰囲気だ(イギリスの女の子の部屋がどんな感じかなんてよく分からないけれど)
掃除が行き届き、綺麗なお花が飾られていた。ベッド、机、本棚がありクローゼットの中に洋服などの荷物をしまうようになっている。そして、壁にはチューリップ柄の壁紙が貼られていてとても可愛らしい。
住み心地の良さそうな部屋だ。
「じゃあ、満里奈ちゃんごゆっくりどうぞにゃん」
「満里奈ちゃん、ごゆっくりどうぞにゃん」
シロッコとミケにゃんはそう言って部屋から出ていった。
今日からこの部屋で暮らすことになるのかと思うと不思議な気持ちになる。元の世界にいるお父さんとお母さんはわたしのことを心配しているだろうか?
わたしのことより仕事が大切なお父さんと自身の美容や友達と遊ぶことを優先するお母さんだったけれど、いざ離れるとなんだか寂しくなる。
それと、わたしの唯一の友達である猫のマナは元気にしているかな? わたしがいなくなって鳴いていないかな?
そんなことを考えると涙が出そうになった。 と言うか涙が頬を伝っているではないか。
わたし、ここで楽しくやっていけるのかなとちょっと不安にはなるけれど、きっと大丈夫だよと笑顔を作ってみる。
さあ、この部屋でわたしの人生の再出発だよ。
なんてね、でもいつかは元の世界に戻りたいのだけど……。
それはそうと、シロッコはどうしてわたしの住んでいた世界にいたのかなと不思議に感じた。
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