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第二章 中西真紀
森口さやは何者
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「由美ちゃん、そんなに自分を責めないでよ。悪いのは由美ちゃんじゃないよ」
「ううん、わたしが悪いのよ。だから麗奈ちゃんに謝りたい。謝りたいのに森口さんがわたしをこの部屋に閉じ込めたんだよ」
由美は自分が悪いと思い込んでいる。確かに由美は麗奈ちゃんを助けなかった。そして、わたしもまた麗奈ちゃんを助けなかった。
だけど、麗奈をいじめたのは由美じゃないしわたしでもない。田本さんが麗奈をいじめたのだから。
それなのに由美は自分を責めている。由美の辛くて悲しそうな表情を見ているとわたしも辛くなってくる。
あの時、勇気を出して麗奈ちゃんを助ければ良かった。そうすれば良かったのに……。後悔しても遅いのだけど。
「うふふ、友情ごっこはおしまいかしら?
それともまだ続くのかしら?」
そう言って笑う森口さんの声が聞こえてきた。
振り返ると森口さんはにこにこにたーりと笑っている。その森口さんの口は耳元近くまで裂けた状態になっている。
ひぇーっ! 森口さんは一体何者なのかなと恐ろしくなりわたしは腰を抜かしそうになった。
「友情ごっこだなんて言わないでください!」
由美は怒鳴った。由美の声は怒りに震えている。
「うふふ、だって友情ごっこでしょ? 相田さんってばわたしに中西さんを成敗してくださいって頼んだのにどうしたのかしらね?」
森口さんは面白そうに笑った。
「そ、それは……」
由美は唇をぎゅっと噛んだ。
「あらあら相田さんってばどうしたのかしらね~」
「由美ちゃんはそんなこと……それは本心ではないと思います」
そうだよ。由美はわたしのことを恨んだかもしれない。だけど本気でわたしを成敗してほしいとは思っていないはずだ。
だって、由美はわたしの友達なのだから。
それはわたしの思い上がりかもしれないけれど……。
「あらあら中西さんも友情ごっこがお好きなんですね」
森口さんはにやりにやーりと笑った。
「森口さんは変ですよ。 おかしいです! 由美ちゃん、さや荘から出よう。こんな不気味なアパートに住んでいられないよ」
わたしは森口さんをキッと睨み由美の腕をぎゅっと掴んだ。
「中西さん、このさや荘を不気味なアパートだと言ったわね。このわたしの大事なさや荘を不気味なアパートなんて言って許さないんだから!」
森口さんの顔がグニャリと歪んだ。
グニャリと歪んだ森口さんの顔は不気味だった。このさや荘と同じくらい不気味だ。いや、それ以上に不気味だ。
わたしは由美の腕を引っ張りさや荘から出ようとするが森口さんが玄関に立ちはだかっている。
「森口さん、退いてください」
わたしは、森口さんのアーモンド形の綺麗な目を睨む。
「嫌よ。あなた達は罪人よ! このさや荘でゆっく~り、ゆっく~り反省しなさいよ!」
「反省は外でします!」
「あらあら、強気だね。それにさや荘を途中解約することになるわよ」
森口さんはにやりにやーりと笑った。
「……さや荘は不気味なので途中解約は違反にならないと思います! でもどうしてもと言うのでしたら違約金を払いますから退いてください」
わたしは森口さんを睨みつけた。
「わたしも同じくです。外で反省しますから退いてください」
由美も語気を強めて言った。
「許さないわよーーーーーー!」
森口さんは叫んだ。
「ううん、わたしが悪いのよ。だから麗奈ちゃんに謝りたい。謝りたいのに森口さんがわたしをこの部屋に閉じ込めたんだよ」
由美は自分が悪いと思い込んでいる。確かに由美は麗奈ちゃんを助けなかった。そして、わたしもまた麗奈ちゃんを助けなかった。
だけど、麗奈をいじめたのは由美じゃないしわたしでもない。田本さんが麗奈をいじめたのだから。
それなのに由美は自分を責めている。由美の辛くて悲しそうな表情を見ているとわたしも辛くなってくる。
あの時、勇気を出して麗奈ちゃんを助ければ良かった。そうすれば良かったのに……。後悔しても遅いのだけど。
「うふふ、友情ごっこはおしまいかしら?
それともまだ続くのかしら?」
そう言って笑う森口さんの声が聞こえてきた。
振り返ると森口さんはにこにこにたーりと笑っている。その森口さんの口は耳元近くまで裂けた状態になっている。
ひぇーっ! 森口さんは一体何者なのかなと恐ろしくなりわたしは腰を抜かしそうになった。
「友情ごっこだなんて言わないでください!」
由美は怒鳴った。由美の声は怒りに震えている。
「うふふ、だって友情ごっこでしょ? 相田さんってばわたしに中西さんを成敗してくださいって頼んだのにどうしたのかしらね?」
森口さんは面白そうに笑った。
「そ、それは……」
由美は唇をぎゅっと噛んだ。
「あらあら相田さんってばどうしたのかしらね~」
「由美ちゃんはそんなこと……それは本心ではないと思います」
そうだよ。由美はわたしのことを恨んだかもしれない。だけど本気でわたしを成敗してほしいとは思っていないはずだ。
だって、由美はわたしの友達なのだから。
それはわたしの思い上がりかもしれないけれど……。
「あらあら中西さんも友情ごっこがお好きなんですね」
森口さんはにやりにやーりと笑った。
「森口さんは変ですよ。 おかしいです! 由美ちゃん、さや荘から出よう。こんな不気味なアパートに住んでいられないよ」
わたしは森口さんをキッと睨み由美の腕をぎゅっと掴んだ。
「中西さん、このさや荘を不気味なアパートだと言ったわね。このわたしの大事なさや荘を不気味なアパートなんて言って許さないんだから!」
森口さんの顔がグニャリと歪んだ。
グニャリと歪んだ森口さんの顔は不気味だった。このさや荘と同じくらい不気味だ。いや、それ以上に不気味だ。
わたしは由美の腕を引っ張りさや荘から出ようとするが森口さんが玄関に立ちはだかっている。
「森口さん、退いてください」
わたしは、森口さんのアーモンド形の綺麗な目を睨む。
「嫌よ。あなた達は罪人よ! このさや荘でゆっく~り、ゆっく~り反省しなさいよ!」
「反省は外でします!」
「あらあら、強気だね。それにさや荘を途中解約することになるわよ」
森口さんはにやりにやーりと笑った。
「……さや荘は不気味なので途中解約は違反にならないと思います! でもどうしてもと言うのでしたら違約金を払いますから退いてください」
わたしは森口さんを睨みつけた。
「わたしも同じくです。外で反省しますから退いてください」
由美も語気を強めて言った。
「許さないわよーーーーーー!」
森口さんは叫んだ。
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