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第二章 中西真紀
憎悪
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「ねえ真紀ちゃん、わたしを助けてよ。助けてよ! 今度はわたしを助けてよ……わたしは四階の部屋に閉じ込められているのよ」
由美はわたしの顔をじっと眺めている。
ドスンドスンドンドンドンドスンドスンドンドンドン。
「えっ? 四階の部屋? 由美ちゃんそれはどういうことなのかな?」
だって、由美はわたしの目の前にいるじゃない。由美はわたしの顔を悲しそうな目で見つめているじゃない。
「中学の時は助けてくれなかったよね。今度は助けてよ。真紀ちゃん助けてよ! わたし苦しくて辛いよ。ねえ真紀ちゃん助けてよ」
由美のその声も表情も本当に苦しそうだった。
「由美ちゃん、中学の時は助けなかったってそれは……麗奈ちゃんのことかな?」
麗奈のこと以外考えられないけれど……。
「麗奈ちゃんは可哀想だったよね。もちろん麗奈ちゃんのこともそうだけど……わたしのことも助けてくれなかったよね」
「由美ちゃんのこともって?」
「わたしは麗奈ちゃんを助けたかった。だけど、真紀ちゃんもほのかちゃんも麗奈ちゃんを助けようともしなかった」
由美の目には憎悪が浮かんでいる。
「……でも、由美ちゃんだって助けようとしなかったでしょ」
「それは真紀ちゃんが味方になってくれなかったからだよ!」
由美は大きな声で叫んだ。
すると、ドスンドスンドンドンドンと大きな音が上の階から鳴り響いた。
「由美ちゃん……どうして? わたしも麗奈ちゃんを助けたかったよ。だけど、田本さんが怖くて助けることができなかった。それは由美ちゃんも同じだよね?」
由美はどうしてそんなに憎しみのこもった目でわたしを見るの? どうしてわたしを責めるのかな。
「わたしは……麗奈ちゃんを助けようって言ってほしかった。真紀ちゃんがそう言ってくれたらどんなに心強かったかなと思うよ」
由美の憎しみのこもった目から涙がぽたりと零れた。
「でも真紀ちゃんは助けようと言ってくれなかった」
由美の憎しみのこもった目からまたぽたりと涙が零れた。
「……」
それって同罪だよねと言いたかったけれど言葉が出てこなかった。
由美の憎しみのこもった目から涙がぽたりぽたりぽたりと溢れた。
わたしは何も言えず由美の流している涙を眺めていた。
すると……。
由美はわたしの顔をじっと眺めている。
ドスンドスンドンドンドンドスンドスンドンドンドン。
「えっ? 四階の部屋? 由美ちゃんそれはどういうことなのかな?」
だって、由美はわたしの目の前にいるじゃない。由美はわたしの顔を悲しそうな目で見つめているじゃない。
「中学の時は助けてくれなかったよね。今度は助けてよ。真紀ちゃん助けてよ! わたし苦しくて辛いよ。ねえ真紀ちゃん助けてよ」
由美のその声も表情も本当に苦しそうだった。
「由美ちゃん、中学の時は助けなかったってそれは……麗奈ちゃんのことかな?」
麗奈のこと以外考えられないけれど……。
「麗奈ちゃんは可哀想だったよね。もちろん麗奈ちゃんのこともそうだけど……わたしのことも助けてくれなかったよね」
「由美ちゃんのこともって?」
「わたしは麗奈ちゃんを助けたかった。だけど、真紀ちゃんもほのかちゃんも麗奈ちゃんを助けようともしなかった」
由美の目には憎悪が浮かんでいる。
「……でも、由美ちゃんだって助けようとしなかったでしょ」
「それは真紀ちゃんが味方になってくれなかったからだよ!」
由美は大きな声で叫んだ。
すると、ドスンドスンドンドンドンと大きな音が上の階から鳴り響いた。
「由美ちゃん……どうして? わたしも麗奈ちゃんを助けたかったよ。だけど、田本さんが怖くて助けることができなかった。それは由美ちゃんも同じだよね?」
由美はどうしてそんなに憎しみのこもった目でわたしを見るの? どうしてわたしを責めるのかな。
「わたしは……麗奈ちゃんを助けようって言ってほしかった。真紀ちゃんがそう言ってくれたらどんなに心強かったかなと思うよ」
由美の憎しみのこもった目から涙がぽたりと零れた。
「でも真紀ちゃんは助けようと言ってくれなかった」
由美の憎しみのこもった目からまたぽたりと涙が零れた。
「……」
それって同罪だよねと言いたかったけれど言葉が出てこなかった。
由美の憎しみのこもった目から涙がぽたりぽたりぽたりと溢れた。
わたしは何も言えず由美の流している涙を眺めていた。
すると……。
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