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第二章 中西真紀
真紀ちゃんあなたの罪は何ですか?
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「真紀ちゃん、久しぶりだね」
由美の低い声が聞こえてきた。
「あ、由美ちゃん久しぶりだね」
わたしは笑顔を浮かべて挨拶をした。
だけど、由美の顔は強張っていてなんだか怖かった。
「由美ちゃんどうかしたの?」
「……真紀ちゃん」
由美の表情は強張ったままだった。由美が嫌がることを何かしてしまったのかなとわたしは不安になった。
「……由美ちゃん?」
「真紀ちゃんの罪は何ですか?」
「えっ? わたしの罪って? 由美ちゃんどうしたの? 今日の由美ちゃんはなんだか変だよ」
不穏な空気が漂ってきた。何だろう?
わたしの胸はドキドキしてきた。由美ってばどうしてしまったのかな? ねえ由美ってばなんだか変だよ。
由美、これは夢だよね?
「……真紀ちゃん、あなたの罪は何ですか?」
由美はまた同じ言葉を繰り返す。
「罪って何よ?」
「だから、真紀ちゃんあなたの罪は何ですか?」
由美はまた同じ言葉を繰り返す。
「言ってる意味が分からないよ」
「どうして分からないのよ。ねえ、真紀ちゃんどうして分からないのよ!」
由美は怖い顔でわたしを睨みつけた。
そして……。
ドスンドスンドスンドンドンと上の階から大きな音が鳴り響いてきた。
これは夢ではないの?
ドスンドスンドンドンドンドスンドスンドンドンと上の階からうるさい音が鳴り響く。
「由美ちゃん? ねえ、どうしたの?」
「真紀ちゃん、あなたの罪は何ですか? ねえ真紀ちゃんの罪は何ですか?」
中学生のあどけなさの残るその顔が……。
今の二十五歳の由美の顔に変わった。
「由美ちゃん……」
「由美ちゃんじゃないよ! どうして真紀ちゃんはわたしのことを助けてくれなかったの? わたしは苦しくて辛かったんだよ。それなのに真紀ちゃんは助けてくれなかった」
由美のその顔が苦痛に歪んだ。
「由美ちゃん? 助けてくれなかったってなんのことかな」
わたしがそう答えると。
ドスーン! と上の階から大きな音が鳴った。
由美の低い声が聞こえてきた。
「あ、由美ちゃん久しぶりだね」
わたしは笑顔を浮かべて挨拶をした。
だけど、由美の顔は強張っていてなんだか怖かった。
「由美ちゃんどうかしたの?」
「……真紀ちゃん」
由美の表情は強張ったままだった。由美が嫌がることを何かしてしまったのかなとわたしは不安になった。
「……由美ちゃん?」
「真紀ちゃんの罪は何ですか?」
「えっ? わたしの罪って? 由美ちゃんどうしたの? 今日の由美ちゃんはなんだか変だよ」
不穏な空気が漂ってきた。何だろう?
わたしの胸はドキドキしてきた。由美ってばどうしてしまったのかな? ねえ由美ってばなんだか変だよ。
由美、これは夢だよね?
「……真紀ちゃん、あなたの罪は何ですか?」
由美はまた同じ言葉を繰り返す。
「罪って何よ?」
「だから、真紀ちゃんあなたの罪は何ですか?」
由美はまた同じ言葉を繰り返す。
「言ってる意味が分からないよ」
「どうして分からないのよ。ねえ、真紀ちゃんどうして分からないのよ!」
由美は怖い顔でわたしを睨みつけた。
そして……。
ドスンドスンドスンドンドンと上の階から大きな音が鳴り響いてきた。
これは夢ではないの?
ドスンドスンドンドンドンドスンドスンドンドンと上の階からうるさい音が鳴り響く。
「由美ちゃん? ねえ、どうしたの?」
「真紀ちゃん、あなたの罪は何ですか? ねえ真紀ちゃんの罪は何ですか?」
中学生のあどけなさの残るその顔が……。
今の二十五歳の由美の顔に変わった。
「由美ちゃん……」
「由美ちゃんじゃないよ! どうして真紀ちゃんはわたしのことを助けてくれなかったの? わたしは苦しくて辛かったんだよ。それなのに真紀ちゃんは助けてくれなかった」
由美のその顔が苦痛に歪んだ。
「由美ちゃん? 助けてくれなかったってなんのことかな」
わたしがそう答えると。
ドスーン! と上の階から大きな音が鳴った。
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