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第二章 中西真紀
さやカフェのモーニング
しおりを挟むさや荘に引っ越してきたその日は早めに寝た。幸い上の部屋からの騒音は聞こえてこなくて朝までぐっすり眠ることができた。
朝目を覚ますと見慣れない天井が目に入った。そうだ、さや荘に引っ越してきたんだな。これで良かったのかなと考える。
だけど、さや荘を選んでしまったのだから仕方がない。しばらくここに住むしかない。
わたしは溜め息をつきながら洗面所で顔を洗いパジャマから服に着替える。
カーテンを開けると朝のキラキラした太陽の光が部屋の中に入ってきた。
そうだ、森口さんのモーニングセットが無料なので食べに行こう。どんなモーニングセットが食べられるのかなと想像すると楽しい気持ちになる。
さてと、一階のさやカフェに行こう。上の部屋の人のことは取り敢えず脇に置いておこう。
わたしはワクワクと心を弾ませ玄関の扉を開けようとしたその時何気なく部屋の方を振り返った。
すると、昨日わたしが投げつけた卒業アルバムが目に入った。気にしない、気にしないと卒業アルバムから目を逸らし玄関の扉を開けた。
わたしは、一階にあるさやカフェの木製の扉を開いた。すると、カランコロンとドアベルの良い音が鳴った。
「いらっしゃいませ~さやカフェへようこそ~あら、中西さんじゃないですか。おはようございます」
森口さんはニコニコと微笑みを浮かべた。今日も唇に塗られている赤リップがキラキラと輝いている。
「森口さん、おはようございます」
わたしも笑顔を浮かべ挨拶をした。
「うふふ、さやカフェのモーニングセットをお楽しみに~あ、お好きな席にどうぞ」
「はい、楽しみです」
わたしは窓際のカウンター席に腰を下ろした。店内を見渡すと男性客がテーブル席についていた。まだ他にはお客さんはいないようだ。
それほど流行ってないのかな。あのお客さんはさや荘の住人なのかなとぼんやりと考えた。
しばらくすると、「お待たせしました~さや特製のモーニングセットです」と森口さんの明るい声が聞こえてきた。
森口さんが運んできたモーニングセットは豪華だった。
「わっ、美味しそうですね」
「うふふ、ありがとうございます。朝からたっぷり食べて体に活力をつけてくださいね」
森口さんの笑顔はキラキラと輝いていた。
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