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第一章 相田由美
卒業式
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ーーー
その日は中学の卒業式だった。
麗奈とは結局卒業式のその日まで話をしなかった。麗奈は居ない存在として扱われ続けた。わたしも田本和子達と同じように麗奈を無視し続けた。
「卒業してもずっと友達でいようね」
「うん、わたし達の友情は永遠だね」
「高校は別々になるけどずっと友達でいようね」
わたしと真紀ちゃんとそれからほのかちゃんは卒業式が終わると三人で輪になり友情を誓い合った。
その時、麗奈の姿が視界に入った。麗奈は卒業証書を片手に持ち悲しそうな表情をしていた。そんな麗奈の表情を見るとわたしの胸はチクッと痛んだ。
麗奈のそんな姿は見たくなくて目を逸らそうとしたその時、麗奈と視線がぶつかった。
麗奈の黒い瞳の奥に深い哀しみの色が滲んでいた。わたしはそんな麗奈の目を見ていられなくてぱっと目を逸らした。
「由美ちゃんどうしたの?」
真紀ちゃんが声をかけてきた。
「ううん、何でもないよ」
わたしはにっこりと微笑みを浮かべ胸はチクチクと痛んだ。
気がつくと麗奈の姿は見えなくなっていた。
教室に戻ると担任の先生が卒業アルバムを配った。卒業証書に卒業アルバムも受け取るといよいよこれで中学生活も終わりだなと実感した。
「皆さん、卒業おめでとうございます」
担任の先生はそう言って涙を流した。
先生は若い女性だったけれど、この教室でいじめがあったことなんて気づいていなかったのだろう。
わたしは涙を流している先生を眺めた。きっと、わたし達生徒ともう会えないことを寂しく思っているのだろう。
でもね、先生、麗奈がいじめられていることに気づいてほしかったよ。卒業式が終わり泣いてもらっても嬉しくなんてないよ。
先生、どうして気づいてくれなかったのですか? わたしはそう叫びたくなった。
だけど、もういいや。明日からこの教室に通うこともないのだから。それに幸い麗奈とも田本和子や野川里子とも高校は別々になったのだから。
良かった、本当に良かったよ。
わたしは、明日から自由になれるのだ。そう思うと嬉しくなり頬が緩んだ。
麗奈も明日からいじめられないもんね。これで良かったんだよねとわたしは自分に言い聞かせた。
そして、先生が教室から出ていくと田本和子が「ねえ、皆」と言った。
その田本和子の声になんだか嫌な予感がした。その続きを言わないでお願いだからな何も話さないで……。
続きを話さないで……。
だけど、田本和子は、「いいことを思いついたよ~」と嬉しそうに笑ったのだった。
その日は中学の卒業式だった。
麗奈とは結局卒業式のその日まで話をしなかった。麗奈は居ない存在として扱われ続けた。わたしも田本和子達と同じように麗奈を無視し続けた。
「卒業してもずっと友達でいようね」
「うん、わたし達の友情は永遠だね」
「高校は別々になるけどずっと友達でいようね」
わたしと真紀ちゃんとそれからほのかちゃんは卒業式が終わると三人で輪になり友情を誓い合った。
その時、麗奈の姿が視界に入った。麗奈は卒業証書を片手に持ち悲しそうな表情をしていた。そんな麗奈の表情を見るとわたしの胸はチクッと痛んだ。
麗奈のそんな姿は見たくなくて目を逸らそうとしたその時、麗奈と視線がぶつかった。
麗奈の黒い瞳の奥に深い哀しみの色が滲んでいた。わたしはそんな麗奈の目を見ていられなくてぱっと目を逸らした。
「由美ちゃんどうしたの?」
真紀ちゃんが声をかけてきた。
「ううん、何でもないよ」
わたしはにっこりと微笑みを浮かべ胸はチクチクと痛んだ。
気がつくと麗奈の姿は見えなくなっていた。
教室に戻ると担任の先生が卒業アルバムを配った。卒業証書に卒業アルバムも受け取るといよいよこれで中学生活も終わりだなと実感した。
「皆さん、卒業おめでとうございます」
担任の先生はそう言って涙を流した。
先生は若い女性だったけれど、この教室でいじめがあったことなんて気づいていなかったのだろう。
わたしは涙を流している先生を眺めた。きっと、わたし達生徒ともう会えないことを寂しく思っているのだろう。
でもね、先生、麗奈がいじめられていることに気づいてほしかったよ。卒業式が終わり泣いてもらっても嬉しくなんてないよ。
先生、どうして気づいてくれなかったのですか? わたしはそう叫びたくなった。
だけど、もういいや。明日からこの教室に通うこともないのだから。それに幸い麗奈とも田本和子や野川里子とも高校は別々になったのだから。
良かった、本当に良かったよ。
わたしは、明日から自由になれるのだ。そう思うと嬉しくなり頬が緩んだ。
麗奈も明日からいじめられないもんね。これで良かったんだよねとわたしは自分に言い聞かせた。
そして、先生が教室から出ていくと田本和子が「ねえ、皆」と言った。
その田本和子の声になんだか嫌な予感がした。その続きを言わないでお願いだからな何も話さないで……。
続きを話さないで……。
だけど、田本和子は、「いいことを思いついたよ~」と嬉しそうに笑ったのだった。
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