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第一章 相田由美

相田由美あなたの罪は何ですか?

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「ごめんなさい。本当にごめんなさい。わたしは、麗奈ちゃんをいないことにしてしまいました。これがわたしの罪だと思います」

  わたしは中学時代の思い出したくなくて封印していた記憶を思い出した。

  卑怯者だった自分のことが嫌いでこんなわたしは本当のわたしではないと頭の片隅に閉じ込めた記憶がよみがえる。

  わたしの頬に涙が伝う。ごめんなさい麗奈ちゃん。きっと辛くて苦しかったよね……。

「相田由美ーーーーーー!  謝っても許せない。それからまだまだ罪があると思うよ。思い出しなさい!  相田由美あなたの罪は何ですか?」

  地の底からじわじわと這い上がってくるような女性の声がわたしを責める。

「ごめんなさい。許して、許してください」

  わたしは、涙を流しながら叫んだ。

「思い出しなさい、思い出しなさい、思い出しなさいよ。思い出すのよ。もっともっともっと思い出して苦しみなさい!」

  その恐ろしい声と同時に星形のクッキーがびゅんびゅんびゅんと飛びわたしの涙に濡れた頬にぶつかった。


  頬にクッキーがぶつかり痛かった。ズキンズキンと頬が痛む。違うこの痛みは心の痛みだと気がついた。

  わたしの心がズキンズキンと痛んでいる。胸が締めつけられるように痛い。ううん、わたしの心よりも麗奈の心はもっともっと痛んだことだと思う。

  そうだよね。田本和子や野川里子のせいにしていたけれど、わたし自身が麗奈を無視してその心を傷つけたんだよね。

  わたしが麗奈に残酷なことをしたんだよね。そうだ、このわたし自身が麗奈を傷つけたんだよね。

  麗奈ごめんなさい。
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