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両親が登場
真理子と島唐辛子
しおりを挟むゴホッ、ゴホッゴホッ。噎せ続けている真理子。
「ちょっと真理子大丈夫?」とわたし。
「真理子、あなた大丈夫!」と真理子母。
「真理子ちゃん……」とわたしのお母さん。
「真理子や~い、どうしたんだ?」と真理子父。
「真理子さん、大丈夫ですか?」とわたしのお父さん。
「く、くるひ~ひ~ひ~っ」
真理子の顔は真っ赤だ。
「はい、真理子。水だよ」
わたしは真理子に水を差し出す。
真理子は水を受けとり一気に飲み干し、「ふへぇ~辛かった」と言った。
まったく真理子は……。子供みたいだ。
真理子はようやく落ち着きを少取り戻して、水の注がれたグラスをテーブルの上に置き、わたしを睨んだ。
「みどりちゃん、これのどこが美味しいのよ。辛くて辛くてわたし死にそうになったんだからね!」
「真理子、誰がそんなに大量に島唐辛子を入れろと言ったのよ。それ、空っぽになってるじゃん。辛いに決まってるよ」
真理子は、わたしをじっと恨めしそうに睨み、
「だって、みどりちゃんが、どばどばどは~と入れろって言ったじゃん。それがこんな~」
何よそれ、そんなこと言ってないよと思う。
「真理子ちゃん、大丈夫?」
わたしのお母さんが心配そうな顔で真理子に聞いた。
「はい、大丈夫です。ですけど、みどりちゃんが……」
真理子は、うちのお母さんにわたしが悪いと同意させようとしているのだろか。
すると、お母さんが、
「ごめんなさいね、真理子ちゃん。みどり謝りなさい」
どうしてわたしのせいになるのかわからない。
「なんで、わたしが謝らないとならないのよ。真理子が勝手にどばどば~と大量に島唐辛子を入れたんだよ」
わたしが、そう言うと、今度は真理子のお母さんが、
「真理子、あんた。みどりちゃんのせいにしたら駄目でしょ」と言った。
これではなんだかわたしと真理子は小学生の子供みたいだ。
「真理子、わたしがどばどば~と入れろと言わなければ良かったんだよね」
「うん」と真理子は答える。
アホらしいけれどこの場を丸く治めるためには致し方ない。
島唐辛子を入れすぎて赤い顔の真理子。うちの両親に真理子の両親。そしてわたし。ちょっと納得いかないこともあったけれど、みんなで楽しく笑って過ごす。
そして、真理子は辛くて食べられなくなった沖縄そばの器を脇によけて、「は~い」と元気よく手を上げ店員さんを呼ぶ。
やって来た店員さんに、「沖縄そば定食をお願いします」と言った。
真理子……やっぱりあんたは不思議な人だ。沖縄そば定食以外の食べ物を再注文したらいいのになと思うけれど、これこそが真理子なんだよね。
楽しかったお昼の時間もあと少しで終わる。その後は大変な仕事が待っているけれど頑張らないとね。
真理子は笑顔で沖縄そばを食べている。わたし達はそんな真理子を微笑ましく眺めた。
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