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近所を散策(シーサーを探そう)

シーサーがいっぱい

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 わたし達がシーサーを手に取りわいわいがやがや歓声をあげていると、お店の奥から「可愛いですか?」と言いながら店員さんが姿を見せた。

 店員さんは真っ白なワンピースに頭に赤色のバンダナをまいたお洒落なまだ若そうな女性だった。

 「はい、もうシーサーがいっぱいで嬉しくなってしまいますね」

 とわたし。

 「わたしも、ウキウキしちゃいますよ」 

 と真理子。

 「そう言って頂けると嬉しいです。お二人は旅行をされているんですか?」

 もちろん旅行ですよねと思っていそうな表情だ。

 「いいえ、最近沖縄に移住しました。近くのホテルで働いているんですよ」

 わたしがそう答えると、

 「あらまっ、そうなんですか!」と店員さんはびっくりした様子で目を丸くしている。

 どこからどう見てもわたし達のはしゃぎぶりは、旅行者に見えるだろう。

 「沖縄に旅行に来たときに、沖縄の虜になってしまったんです!」

 とわたし。

 「まあ、嬉しい! 沖縄のことを好きになってくれたんですね!」

 店員さんは、頬をゆるめて嬉しそうな表情をしている。


 「東京にはないこの景色に感動しました!」

 と真理子もシーサーを触りながら言った。

 「東京にはない景色、風、空気、歩くだけでもう絶景なんですもん! ここに住みたいって思いました」とわたしも沖縄で感じたことを言った。

 「それを地元の人に言ってあげてくださいね。みんなきっと喜ぶと思いますよ!」

 「はい」とわたしと真理子は元気よく答えた。

 ほんわかと優しい笑顔が似合う店員さんは、

 「でも、慣れなくて大変なことがあるかもしれませんが、基本沖縄の人は呑気ですしね。頑張ってくださいね」と言った。

 この人なんだか、優しい感じでほんわかとしていてよいなと思った。

 そうそう沖縄の人はのんびりしていると聞くけれど、あの池垣に真中さんは全然違うスパルタ……

 この店員さんの緩やかな雰囲気を見習ってほしいよ。

 「ありがとうございます」

 わたし達はお礼を言った。

 「こちらこそ、沖縄が好きって言って頂けたんです。嬉しいですよ。シーサーゆっくり見ていってくださいね」

 店員さんは、そう言って店内の奥に引っこもうとした。わたしは、ちょっと聞いてみたいなと思い、

 「あの~シーサーは口を開いているのと口を閉じているのがいますね。これは意味があるんですか?」

 店員さんは、わたしの声に振り返り、こちらに戻ってきた。

 「あ、それですね。口を開いているのがオスで閉じているのがメスなんですよ」

 店員さんは柔らかな表情に笑顔を浮かべて教えてくれた。

 「全然知らなかったですよ。ペアにしないとダメなんですか?」

 「そんなことはないですよ。ペアにする場合は、右側を雄、左側を雌にしてくださいね」
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