わたし沖縄で働くことにしました(沖縄の風や味が忘れられなくて)

なかじまあゆこ

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近所を散策(シーサーを探そう)

これこそ沖縄だ

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 今日は休みだ! いっぱい寝だめをして気分爽快だ。ここ、沖縄に来て一週間が過ぎた。

 仕事にも少しずつ慣れてきた。

 窓を開けて空気の入れ替え。ベランダに出て伸びをする。今日も晴天で沖縄らしい陽気に包まれてている。そして、どこまでも青い空が美しい。

 さあ、今日一日は何をしようかな。

 まだ、この辺りの散策もしていなかったので、近所をうろついてみようかな。

 サンダルを履いて外に出てみる。わあ~暑い。

 蝉が鳴き。太陽がギラギラしていて眩しい。これこそ沖縄って感じだ。


寮の入り口付近にある自動販売機で『さんぴん茶』を買う。手に持つとひんやりして気持ちいい。

 さんぴん茶はジャスミンティーとほぼ同じだと思うけれど、ここ、沖縄では『さんぴん茶』と呼ぶらしい。至る所にいろんなメーカーのさんぴん茶がある。

 ペットボトルに口をつけてごくごく飲むと、もう身体中に冷たい冷気が流れ込み気持ちが良い。

 「あ~生き返る~」

 今日一日が始まるぞ!

 「みどりちゃ~ん」

 わたしを呼ぶ真理子の声が聞こえてきた。

 「なあに? 真理子」


 見上げると、真理子がベランダから身を乗り出しているのが見えた。

 「みどりちゃ~ん、朝ごはん食べた?」

 「ううん。まだだよ~」

 「何をやっているの?」

 「朝の散歩でもしようかなと思ったんだよ」

 「わたしも一緒に行ってもいい?」

 「うん。降りてきたら」

 暫くすると真理子は下りてきた。

 「おはよう~みどりちゃん」

 「おはよう~。真理子にしては起きるの早いね」

 「うん。なんか目が覚めちゃってね」

 真理子も自動販売機で飲み物を買った。

 真理子が買ったのは『うこん茶』だ。

「うわぁ~まずい」

 真理子はペットボトルを片手に顔をしかめている。

 「そんなにまずいの?」

 「激まずだよ~『うこん茶(うっちん茶)』漢方薬みたいな匂いがするんだけど……」

 「じゃあ、飲ませて」

 真理子から『うこん茶(うっちん茶)』のペットボトルを受け取り、鼻先にペットボトルを近づけるだけで独特な匂いがした。そしてごくごくと飲んだ。

 あれ? 思いのほか

 「美味しいかも!」

 「やだ、みどりちゃん、こんなのが美味しいなんて変態だ~」

 「真理子! 変態とは酷くない! でもこれ本当に美味しいよ。なんていうのかな? この臭みに独特な匂いが堪らん」

 「え~だから、それが変態なんだってば!」

 「真理子~」

 わたしが怒ると真理子は走って逃げた。

 こんなに暑い日に走るな、真理子。逃げる真理子を追いかけるわたし。

 沖縄の赤い屋根瓦にシーサー、こんな景色の中を『うこん茶(うっちん茶)』を片手に真理子を追いかけるわたしだった。

 
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