わたし沖縄で働くことにしました(沖縄の風や味が忘れられなくて)

なかじまあゆこ

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沖縄で働きます

わたしの部屋とそして大浴場

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 「あ、そうそう荷物持ったままでしたね。じゃあ、お部屋を先に案内しますね」

 「はい。お願いします」

 「お願いしまーす」

 ついに、いよいよお部屋の案内だ。

 うわーどんな部屋なのか、とてもとても、気になる。だって、これから当分住むことになるのだから。

 部屋は二階。階段で二階に上がると、外側に廊下が長く真っ直ぐ続いており、廊下に沿って個人個人の部屋のドアが並んでいる。

 絨毯が敷かれていて色は赤色だ。

 
  そしてついに扉を開ける時がやってきた。

 わたしは二の二号室と書かれた扉を、真理子は二の三号室の扉を開ける。

 ドキドキワクワクの瞬間だ。

 開けてみると、ごく平凡な部屋だった。

 六畳ほどのワンルームで狭め。わたしは室内を眺める。

 ベッドと机が一つに、テレビ、本棚、小型の箱みたいな冷蔵庫が備えつけられていた。

 真っ正面に、ベランダがあり、日当たりもよさそうだ。浴室は部屋にはシャワーがあるのみで、お風呂場は大浴場。トイレも共同。

 「とりあえず、ゆっくり片付けでもしてくださいね。また、あとで夕食の取り方など説明しますね」

 荒橋さんはそう言って出て行った。

  スーツケースから荷物を取り出して備えつけられているクローゼットに持ってきた衣類などをしまった。

 この部屋がこれからはわたしの我が家になるのか。部屋を見渡して感傷的な気分になった。

 沖縄に勢いで来てしまったけれどこれで本当に良かったのかな。

 わたしは間違っていないよね。

 答えはまだ分からない。

 ベッドに横になり、やっとゆっくりと考える時間ができた。

 親にも、わたしは絶対に大丈夫だから! と見栄を張って東京から沖縄にやって来たのだから、のこのこと簡単には帰ることなんてできない。

 とにかく頑張ろう。そう誓う。

 
 頑張るぞと自分の世界に浸っていると、ガタンと突然大きな音が聞こえたのとほぼ同時に、部屋の扉が開かれた。

 人の部屋の扉を勝手に開ける失礼な奴はあの子しかいない。真理子だ。

 真理子はニコニコ顔で立っていた。

 真理子の奴は呑気な顔をしている。せっかくわたしにしては珍しく自分の世界に浸って心の中を見つめ直していたところだったのに。

 気づかいの欠片も持ち合わせていないのだから困る。

  「真理子! 勝手に人の部屋に入ってこないでよ」

 「あ、ごめーん。みどりちゃん」

 「それで何?」

 「あ、そうそう。さっきね、わたし一階を探検していたんだ。そしたら荒橋さんに会ったの」

 一階を探検! なんじゃそれは。

 「それでどうしたの?」

 「うん。一階に大浴場があったんだ。夕食前に先に入っていいですかって聞いてみたの。そしたら先にどうぞだって! だからみどりちゃんを誘いにきたんだよ」

 げげっ。

 「いいよ。わたしは部屋のシャワーを浴びるから真理子一人で行ってきなよ」

 「なんでよ。一緒に行こうよ」

 真理子はわたしの腕を引っ張る。

 本当は行きたくないけれど真理子が煩いから仕方なく大浴場に行くことにした。

  バスタオルを持ち一階に降りて真理子の案内で大浴場に行く。大浴場は食堂の隣の隣にあった。

 「わーい! お風呂だよ~」

 「うん。そうだね」

 「みどりちゃん、なんで浮かない顔してんの?」真理子はきゃきゃっと笑う。

 扉を開けるとまずは脱衣所。

 脱衣所にはロッカーが並んでいる。ロッカーにも部屋番号が書かれており、脱いだ服は自分の部屋番号のロッカーに入れるらしい。


  嫌だなと思い溜め息が出る。

 真理子はさっさと服を脱いで、すっぽんぽんだ。

 何も隠さないで、生まれたままの姿でお風呂が大浴場で良かったなんて浮かれ、色々物色している。

 よくもまあ恥ずかしくもないもんだ。

 「みどりちゃん、何をしてるの? 早く」

 真理子に急かされるなんてわたしらしくない。

 「じゃあ、行こう」

 「え! みどりちゃん、何? その姿!」
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