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沖縄で働きます

お仕事内容

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 事務所の中に入ると室内は、こじんまりとしていた。机が数台と、書類を収納する棚にコピー機があるくらいだった。

 その中で、かりゆしウェア(アロハシャツに似ている)を着た人達が数人仕事をしていた。

 わたし達は、「失礼します」と言って入室した。

 仕切りの向こうに小さな応接室があり、そちらに通されて簡単な説明を受けた。

 そして、マニュアルを渡された。一枚目は、仕事に関して書かれている紙で、二枚目はこれから住むことになる寮についての決まり事などが書かれていた。

 紙には勤務についてと書いてあった。

 その日により勤務時間等が違うらしい。

 一例として。

 朝七時起床
   ↓
 九時から勤務開始
   ↓
 十三時~十五時休憩
   ↓
 十六時~二十時勤務  
   ↓
 二十時勤務終了

 「へぇーこれは待遇がいいのか悪いのか分かんないね」

 真理子は配られた紙を見て言った。

  確かにわたしもよく分からないけれど。

 通常のホテルは、仕事の担当が決まっているはずだろうと思うがこのホテルは、決まってないとのことだった。

 ホテルに宿泊のお客様に無料の朝食が付いていてその朝食当番の日は朝五時起きだって!

 早起きは苦手だ。これは大丈夫か不安になってきた。

  このあと、わたし達がこれから生活をすることになる寮を案内してくれるとのことだ。


 「真理子~不安だよね。どんなところかな?」

 「わたしも心配だよ~」

 ふたりで、コソコソ話す。

 「さあ、案内しますよ。荷物忘れずにね」

 「はい」とわたしと真理子は声は揃う。

 生活をしていく場所であるから、もう期待と不安で胃が痛くなりそうだ。


 寮は、ホテルの裏側にある建物。外観はとりあえず見た感じ大丈夫そうだ。

 二階建ての建物で白い壁に屋根は寮もピンク色。庭には花壇があり花が綺麗に植えられていた。

 さあ、問題は中身だよね。
 
 入り口には『夢ハウス』と大きな青い文字で書かれている。

 入り口の前で、部屋の鍵を渡された。

 わたしが二ー二号室で真理子は二-三号室を割り振られた。

 「中へどうぞ」と女性。

 「はーい」とわたし達は返事をする。

 入り口を入ってすぐ右側にずらーと靴箱が置かれていた。

 「靴箱に部屋の番号が書かれています。並木さんが二-二、梅木さんは二-三ですね」

 わたし達はそれぞれ指定された靴箱に靴を入れた。

   「では、行きますよ」

 さっさと行ってしまう。なんだかとても事務的な女性だな。そういえば名前も聞いていなかった。

  女性はずんずんと歩き出す。そして、右手にある自動販売機の前で歩を止めた。

 「自動販売機です。ジュースなど二十四時間買えますよ」

 そして、また歩き始めた。更にずっと奥に進むと扉が見えた。

 「ここが、食堂です。じゃあ中に入りますね」

 扉を開けて中に入る。

 テーブルが何列か並んでいて、恐らく三十人以上の人が一気に座れるだろう。

 「あ、そうそう自己紹介忘れていました。 荒橋あらはしと申します。何か分からないことがあればわたしに言ってくださいね」

 そう言って荒橋さんは笑顔を浮かべた。

 今更感もあるが、やっと自己紹介して笑顔を見せてくれた。
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