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猫太の笑顔と猫のお母さん

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「うふふ、猫太が笑顔になってくれてお母さんは嬉しいわよ。なんだか昨夜疲れているように見えたから心配してたのよ」

  お母さんは、今もグラタンをはふはふしながら食べている。

「あ、えっ、俺の顔疲れて見えたの?」

  俺は疲れが顔に出ていたかなと思いながら聞いた。

「うん、そうね。だから、朝からグラタンでも食べると元気になれるかなと思って作ったのよ」

「えっ!  そうだったんだ。元気もりもりになったぞ~」

  俺は力こぶを作って見せた。

「ちょっと胃に重いかなとも思ったんだけど良かった、良かった~」

  お母さんはそう言ってウィンクをした。

  その表情がとても可愛らしくて思わずもふもふしたくなった。

「あら、猫太どうしたの?」

  お母さんは首を傾げ俺の顔をじっと見た。

「あ、いや……何でもないよ」

  俺は心の中でお母さん、あなたはとってもキュートなんですよと呟いた。

「ごちそうさまでした。わたしも完食したわよ~そうだ、果物もあるけど食べる?」

「あ、うん、食べるよ」

「じゃあ、待っててね」

  お母さんはお盆に俺とお母さんの食べ終えた食器を載せパタパタと台所へ向かった。

「おはよう~良い香りがするね」

 
  お姉ちゃんがそう言いながら俺の隣の椅子に腰を下ろした。

「お姉ちゃん、おはよう~今日はグラタンだよ」

「えっ!?  グラタンなんだ。美味しそうだけどちょっと胃に重たいかもね」

  なんて言ってはいるけれど、お姉ちゃんのことだからきっと、完食するだろうなと思うとなんだか可笑しくなり笑ってしまった。

「ちょっと、どうして笑っているの?」

  お姉ちゃんは不思議そうに首を傾げた。
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