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お昼休み

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  昼休み、中庭のベンチに猫助とにゃんぴと並んで座りお弁当を広げた。

「待ちに待ったお弁当の時間で~す!」

「猫助君の食いしん坊~」

「にゃんぴ何とでも言ってくれ~俺は授業中この時間を心待ちにしていたんだから」

  猫助の声はそれはもう弾んでいる。

「猫助って本当に大袈裟だよね」

「えっ?  大袈裟かな。だって、俺は授業中へのへのもへじをノートに書きながらお弁当タイムを待っていたんだからね」

「あのね、なんで、ノートにへのへのもへじを書いているんだよ。ちゃんと黒板を写せよな」

  俺は呆れて溜め息をついた。

「うん、それが黒板の文字を写そうかなと思うんだけど気がつくとこの手はへのへのもへじを書いているんだよな」

   なんて言いながら猫助は肉球のある手をじっと眺めた。

「猫太君、お馬鹿な子の相手はしないでお弁当食べよう」

  にゃんぴは猫助をちらりと見て言った。

「だよな」

「もう、にゃんぴも猫太も酷いぞ」

  猫助は口を尖らせ抗議をする。

   俺達は答えずお弁当を食べた。

「意地悪な奴らだぜ」

   猫助はブツブツ文句を言いながらおにぎりを食べた。その瞬間頬が緩み幸せそうな表情になった。

「そうだ、猫助君、おじいちゃんに人間のことを聞いたんだよね?」

  にゃんぴが聞くと、猫助は俺に朝、話してくれたじいちゃんのことをにゃんぴに話した。

「ふーん、そうなんだね。それはやっぱりおじいちゃんは何か隠しているのかもね?」

  にゃんぴはミートボールにお箸をぶっ刺し口に運んだ。

「やっぱりにゃんぴもそう思うよね」

「うん、酔っ払った時に思わず言ってしまったんじゃないかな?」

  にゃんぴもやはり猫助のじいちゃんは何かを知っていると感じたようだ。

「今日、俺の家に来る?  みんなでじいちゃんに聞いてみる?」

「おっ、それは良いかもね」

「賛成!!」

「良し、じゃあ、決まりね。じいちゃんすっとぼけると思うけど様子を見てよ」

「分かったよ」、「分かった~」と俺とにゃんぴは返事をした。

  こうして猫助のじいちゃんに久しぶりに会うことになったのだ。
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