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猫助のじいちゃんはとんでもない猫です
しおりを挟む猫助のじいちゃんはそれはもう猫助に良く似たアメリカンショートヘアなのだ。
どうしてあてにならないかってそれはもうお分かりであろうが猫助に似ているということは、そうなのだ。
『旨い、めちゃくちゃ旨いぞ。この饅頭は最高だ。うにゃ? 猫太君冴えない顔をしてどうしたんだい?』
猫助のじいちゃんは饅頭を片手にこう言うのだ。しかもヨダレをたらりと垂らしている。
『じいちゃん……その饅頭』
『うにゃ? この饅頭がどうしたんだ?』
『……俺の饅頭なんですが』
『な、なんと!』
猫助のじいちゃんは目を見開きびっくりしたように饅頭を見つめる。
『じいちゃん、なんとじゃないよ』
俺は猫助のじいちゃんをじっと見て溜め息をついた。
『猫太君、すまない。うむ、ではこの饅頭を返そう』
猫助のじいちゃんは得意げにヨダレのべったりくっついた饅頭を差し出した。
『じいちゃん!』
『何だね? 猫太君』
『じいちゃんそんなばっちい饅頭俺食べられないよ』
俺は呆れてふぅーと溜め息をついた。
『わしの饅頭が汚ないとは!』
じいちゃんは目を吊り上げ口を尖らせている。どうやら機嫌を損ねたらしい。
『どうして怒っているんだよ。じいちゃん、その饅頭は俺のだってば』
『そうだったな。それはすまない猫太君』
じいちゃんは謝ったかと思うと口を大きく開けて饅頭を全部食べてしまったのだった。
俺は呆れて何も言えなくなってしまったのだった。だけど、猫助のじいちゃんも猫なのでやっぱり可愛らしかった。
「こんな感じのじいちゃんだよな」
「じいちゃんらしいな」
猫助にじいちゃんの話をするとあははと笑った。その猫助の表情はじいちゃんに良く似ていたのは言うまでもない。
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