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双子の子猫

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   ふわふわもふもふで触り心地が良くてお日様の匂いがするチビ子とチビ助の頭を俺は交互に撫でる。すると、幸せそうに目を細め顔を上向け俺の手に頭をスリスリ擦りつけてくるチビ子とチビ助。

  ああ、俺はなんて幸せなんだろうか。それはもう嬉しくて頬が緩む。これこそ幸せな猫の楽園だ。

「ちょっと、猫太君」

  誰だよ。うるさいな。俺のもふもふタイムを邪魔する奴は。

「ねえ、猫太君ってば聞いているの?」

   俺はチビ子とチビ助の頭を優しく撫でながら顔を上げるとにゃんぴの綺麗な青色の目が俺の顔をじっと見ていた。

「あ、にゃんぴ!」

「あ、にゃんぴじゃないわよ。猫太君ってば頬が緩みすぎだよ」

  にゃんぴは呆れた顔で両手を広げた。

「あはは、俺は猫が好きで特に子猫は可愛らしくてもうたまらんって感じになるんだよ」

   頭を俺の手にグイグイとくっつけてくる二匹の頭を撫でながらそれはもう頬をゆるゆると緩めた。

「ふ~ん、そうなんだ」

「あ、にゃんぴも可愛いよ。子猫には負けるけどね」

「にゃはは、それはありがとう。一言余計だけどね」

  にゃんぴは照れたように笑い頭をぽりぽり掻いた。

「で、何なんだ?」

「そうそう、チビ子とチビ助を寝かしつけて家に帰らなきゃ」

「あ、そうだね。遅くなってしまうもんな。チビ子にチビ助、俺達はそろそろ帰るよ」

  可愛らしい顔を俺にスリスリしてくる二匹にそう言うと、

「え~まだ、遊びたいにゃん!」

「僕も遊びたいったら遊びたいにゃん!」

   大きな目をうるうるさせて俺をじっと見つめる四つの目があまりにも可愛らしくて俺の胸がきゅーんとなり、幸せで倒れてしまいそうになる。

「ちょっと、猫太君ってば顔がだらしなく緩んでいるよ」

  にゃんぴにそう言われ、俺は慌てて自分の頬に手を触れキュッと頬を引き上げる。

「変な顔~」

  にゃんぴは俺の顔を指差し呆れたように溜め息をついた。
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