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にゃんぴとチビ猫

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「あ、にゃんぴ~」と俺達は振り返った。

「ちょっと~わたしを置いて帰るなんて酷いよ~」

  
  にゃんぴは頬を膨らませ腰に肉球のある可愛らしい手を当てている。

「いつも一緒に帰ってないじゃん」

「そうだよな。猫太の言う通りだよ」

  
  俺達がそう答えるとにゃんぴは、

「今日はチビ猫ちゃん達の面倒を見る日でしょ」そう言いにゃーんと頬を最大限に膨らませた。

「あ、忘れていた」

「チビ猫ちゃん達の日か……」

「そうだよ。あ、わたしにチビ猫ちゃん達を押しつけるつもりだったのかな?」

  にゃんぴは俺達をじーっと見た。その青い目は鋭くてまるで鬼の形相だ。いつもの愛くるしいにゃんぴはどこへいってしまったのやら。

「ま、まさかそんなつもりはないよ。ね、猫助」

「うん、そうだよ。にゃんぴにチビ猫ちゃんを押しつけることなんてしないよ」

「本当かな?  嘘じゃないよね」

   にゃんぴは俺と猫助の顔を交互に見て言った。

「もちろんだよ」と俺達はうんうんと頷いた。

「ふーん、だったら許してあげるよ。さあ、行くよ」

  にゃんぴはそう言ったかと思うと先に立ってずんずんと歩き出した。

   そんなにゃんぴの後ろ姿を眺めながら俺達は、「にゃんぴを怒らすと怖いからね」、「だよね」と言って顔を見合わせた。

  さあ、ちょっと面倒だけどチビ猫達の面倒を見なくてはならないのだ。俺はふぅーと溜め息をつきそして歩き出した。チビ猫達が俺達を待っている。
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