奈良町には食いしん坊な神様と狛犬が住んでいます!

なかじまあゆこ

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華夜ちゃんの友達

鹿と猫のぬいぐるみ

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  教室に入ると華夜ちゃんの席の前に二橋さんが立っていた。わたしに気づき二橋さんはチラッとこちらを見た。

「おはよう~華夜ちゃん、二橋さん」とわたしは、挨拶をした。

  華夜ちゃんが顔を上げ「奈夜ちゃん、おはよう~」ととびっきりの笑顔を浮かべ挨拶を返してくれた。

「さっきも会ったけどおはよう~」と二橋さんも笑顔を浮かべている。

  華夜ちゃんの机の上には先程見せられた鹿と猫のぬいぐるみが置かれていた。

「あ、鹿さんと猫さんだ~」狛子と狛助はほぼ同時に言って目をキラキラと輝かせている。

  わたしは、自分の席に座り二橋さんはやっぱり華夜ちゃんとぬいぐるみを買いに行きたかったんだなと思った。

  ああ、もう考えない考えない。わたしは、思わず自分の頭をぽんすかと叩きたくなる。その時、

「うふふ、華夜ちゃんに鹿か猫のぬいぐるみをあげるよ。どっちがいい?」と 二橋さんの明るい声が聞こえてきた。

「え!?  ぬいぐるみをくれるの」

  華夜ちゃんはちょっとびっくりした声で答えた。

「うん、華夜ちゃんにあげるよ」

「ありがとう~それは嬉しいけどもらって良いのかな?」

「うん、いいよ。お部屋にでも飾ってね」

  二橋さんは弾んだ声で話している。

「あの子はよほど華夜ちゃんとぬいぐるみを買いに行きたかったのかね?」

  神様は校長先生の椅子の背にもたれ足を組みふんぞり返って座りながら言った。

「華夜ちゃんは人気者だね」
「ぬいぐるみ貰えていいな」

  狛子と狛助が華夜ちゃんの机の前でそう言った。

「そうかもしれないですね……」

  わたしは神様に返事を返しながら二橋さんは華夜ちゃんがわたしとの約束を優先したことがかなり気に食わないのだろうかと思った。

「きっと、あの子は奈夜ちゃんに嫉妬しているんだよ」

「嫉妬ですか?」

「そうだ。華夜ちゃんが大好きで奈夜ちゃんに取られたらどうしようかなと心配なんだろうな」

  神様は足を組み直しながら言った。

「あはは、華夜ちゃんを取るなんてことないけどな」

  わたしはそう答えながら心のどこかで華夜ちゃんの一番の友達になりたいなと思っている自分の気持ちに気づいていた。

「人間関係は難しいものじゃな」

  神様は二橋さんに視線を向けて言った。
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