奈良町には食いしん坊な神様と狛犬が住んでいます！

みんなで食べるご飯は美味しい

おじいちゃんこんばんは

『こんばんは。華夜ちゃんか可愛らしい名前だね。孫の奈夜と友達になってくれてありがとう。ご飯をしっかり食べていくのだぞ』

  おじいちゃんはそう言って優しい眼差しで華夜ちゃんを見つめた。

「奈夜ちゃんのおじいちゃん、わたしこそ奈夜ちゃんと友達になれて嬉しいです。はい、ご飯ご馳走になりま～す！」

  華夜ちゃんは元気よく言った。

  そんな華夜ちゃんをおじいちゃんは本当の孫を見つめるような優しい眼差しで包み込みあたたかい微笑みを浮かべた。

  わたしは、なんだか華夜ちゃんが友達であり姉妹みたいな存在に感じた。

  お日さまみたいなあたたかいおじいちゃんと太陽のようにキラキラと輝きぽかぽかと周りの人に元気を与えてくれる華夜ちゃん。二人はなんだか似ているなと思った。

  わたしの頬がゆるゆると緩んだ。

「さあ、食べましょう。いただきま～す」

  おばあちゃんが手を合わせた。わたし達もそれに続き「いただきま～す」と手を合わせた。

  さあ、みんなでおばあちゃんの美味しいご飯を食べよう。


  わたしは、先ずはトマトスープを食べた。トマトの酸味と甘みが口の中いっぱいに広がる。具だくさんなトマトスープは食べ応えがある。飲むと言うより食べる感じだ。

  トマトの酸味とウインナーの旨みに玉ねぎなどの野菜の甘みがよく合う。そして、じゃがいもは柔らかくてほくほくほっこりと体も心も温まり幸せな気持ちになる。

  うん、やっぱりおばあちゃんの料理は最高に美味しい。

「おばあちゃんのトマトスープじゃがいもほくほくしていて美味しい～」

  華夜ちゃんがそう言って幸せそうな笑みを浮かべた。

「うふふ、華夜ちゃんありがとう」

  おばあちゃんも柔らかい微笑みを浮かべた。

  奈良漬をパリパリ食べている神様が「良かったな」と言ってわたしの顔を見た。

「はい、華夜ちゃんも喜んでくれたみたいで嬉しいです」

  わたしは、そう答えながらトマトスープを美味しそうに食べている華夜ちゃんの横顔をじっと眺めた。

  すると、華夜ちゃんがこちらに振り向き、「奈夜ちゃん、トマトスープ美味しいね」と言って太陽みたいな笑顔を浮かべた。

  わたしも「うん、美味しいね」と答えにっこりと笑った。

「このトマトスープを食べていると美味しくてほっこりできて心も体も幸せだな～って感じるよ」

  華夜ちゃんは言いながらスプーンでトマトスープと具のじゃがいもをすくう。そして、口に運び「ほっくほっくだ～」と言った。

  わたしも華夜ちゃんと同じようにスプーンでトマトスープと具のじゃがいもをすくい口に運ぶ。華夜ちゃんもわたしと同じように感じているんだと思うと嬉しくなる。

「じゃがいもがほくほくで美味しいよ～」

  いつもおばあちゃんのトマトスープは美味しいけれど、いつもよりもっと美味しく感じた。

「わたしもこのトマトスープ大好きだよ」
「僕もおばあちゃんのトマトスープ大好き」

  顔にトマトソースをくっつけたままの狛子と狛助が笑顔の花を咲かせた。

「わたしもお手伝いしたんだよ～」
「狛子ちゃんてば玉ねぎの皮を剥いて涙を流したんだよ」

「だって、玉ねぎの皮を剥いたら目が痛くなるにおいがしたんだもん」
「確かになんかツーンとするよね」

  狛子と狛助は顔を見合わせきゃははと笑う。もう、その会話を聞いているだけでおばあちゃんのお手伝いをしている二人(二匹)の姿が目に浮かぶ。

 その時にトマトソースを顔にくっつけたんだねと思うと可笑しくなる。