奈良町には食いしん坊な神様と狛犬が住んでいます！

みんなで食べるご飯は美味しい

神様どちらへ

  翌朝この日はよく晴れていた。

  神様との会話を聞いていたおばあちゃんが良かったら華夜ちゃんも夕食に呼んでねと言ってくれた。

「おばあちゃんありがとう。華夜ちゃんも夕食に呼ぶね」

  わたしは、おばあちゃんからお弁当箱を受け取り微笑みを浮かべた。

「美味しい料理を作るからね」

  おばあちゃんはそう言って柔らかい笑みを浮かべながら腕まくりをした。

「うふふ、楽しみだよ～」

  わたしは、嬉しくて飛び跳ねてしまいそうになったけれど、その前に華夜ちゃんを上手く夕食に誘えるかなと考えドキドキしてきた。

「おっ、楽しみだな。きっと華夜ちゃんも喜んでくれるぞ」

  その声に振り返ると神様が奈良漬をパリパリ食べながら笑っていた。

「神様まだ居たんですか？」

「おい、奈夜ちゃん。まだ居たんですかとは失礼ではないか」

  神様はパリパリと奈良漬を食べ続けているかと思ったら美味しそうに緑茶をずずっと啜る。

  そうなのだ、神様は昨夜も神社に帰らず泊まったのだった。枕投げをしなかっただけ大目に見てあげよう。

  なんてことを考えながら神様を見ていると神様は湯呑みをテーブルに置き立ち上がった。

  そして、「さあ、行くぞ」と言った。

「はぁ？  行くとはどちらへ？」

「学校に決まっているではないか」

  信じられないことを言いながら神様は爪楊枝で歯をほじる。

　
  わたしは今日もおばあちゃんとおじいちゃん(幽霊かな？)に見送られ神様と狛犬達と一緒に学校へと向かった。

「今日もお弁当の時間が楽しみだね～」
「うん、めちゃくちゃ楽しみ～」

  狛子と狛助はニコニコと笑いぴょんぴょんとお弁当箱が入っている巾着袋を振り回した。

「ホッホ、楽しみだな」

  神様もなぜだかお弁当が入っている巾着袋を持っている。ああ、どうやら今日も一緒にお弁当を食べるらしい。

「あ、鹿さんだ～」
「わ～い、鹿さんだね」

  狛子と狛助はテクテクと歩いている鹿を指差した。

「お前達、どうせ鹿に逃げられるか追いかけられるのがオチだぞ」

「そ、そんなことないもんね」
「そうだよ、そんなことないもん」

  狛子と狛助はそう言いながら鹿に近づいた。すると、鹿はさーっと逃げた。

「はっはは、ほら、言わんこっちゃない」

  神様はお腹を抱えて笑った。

「……神様酷い」と狛子と狛助はほぼ同時に言ってしゅんとうつ向いた。

「さあ、狛子に狛助、行くぞ」

  神様はククッと笑いながらさっさと歩き出した。

  わたしも仕方がないので神様の後ろを歩いた。それにしても狛子と狛助は鹿に逃げられるし猫にはシャーッってされ可哀想だけどちょっと可笑しくてわたしは笑いそうになった。