奈良町には食いしん坊な神様と狛犬が住んでいます!

なかじまあゆこ

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みんなで食べるご飯は美味しい

黒米カレーは美味しいぞ

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「うん、やっぱり美味しい」

  もちもちぷちぷちした食感の黒米とスパイシーなカレールはよく合い最高の組み合わせなのだ。もうなんとも言えないほど美味しくてほっぺたが落っこちそうになる。

「うん、これは美味しいな。奈良漬も一緒に食べるぞ」

  神様は言いながら黒米カレーと奈良漬をパリパリさせながら食べている。

  おじいちゃんもそんなみんなの姿をお日様のような笑顔を浮かべじっと見ている。

  そして、おばあちゃんの目はとても嬉しそうでキラキラと輝いている。

  食いしん坊で自分勝手な神様と狛犬達が来てからこの家に笑顔が溢れてきた気がする。

  狛子はご飯粒をほっぺたにくっつけ、狛助は口の周りにカレールーをべったりくっつけている。ばっちいけれど可愛い二人(二匹)だなと思いわたしは眺めた。

  そして、ふと思う。今頃華夜ちゃんはどうしているのかなと。誰もいない家で一人でご飯を食べているのだろうか?

  みんなの心をぽかぽかに温めてくれる太陽みたいな笑顔を浮かべている華夜ちゃんが寂しい思いをしているのかなと考えると胸が痛くなった。

「おや?  奈夜ちゃんどうしたんだい?」

  口を大きく開け黒米カレーを食べていた神様の手が止まりわたしの顔をじっと見た。

「……うん、ちょっと」

「もしかすると華夜ちゃんのことかい?」

  神様はカレー皿にスプーンを置き言った。

「えっ!  はい、そうですけどどうしてわかったんですか?」

  わたしは、びっくりして尋ねた。

「なんとなく勘が働いたのじゃ。奈夜ちゃんの幸せそうな顔が突然曇ったからな。さっき神社で華夜ちゃんが言った言葉を思い出したんだよ」

  その言葉を聞き食いしん坊で自分勝手だけど目の前にいるこの人はやっぱり神様なんだなと思った。

「はい、華夜ちゃんの一人でご飯を食べて寂しいと言っていたことを思い出してわたしはこんなに幸せなのにって思ってしまったんですよ」

「そうか、奈夜ちゃんは優しい子だな。じゃあ、華夜ちゃんも呼べば良いのじゃ」

「はぁ?  呼ぶ?」

「たまにこの家で一緒に食事をすると良いのじゃ」

  神様はそう言ってスプーンで黒米とカレールーをすくい口に運び食べた。

「うん、この黒米カレーは美味しいぞ」

  そう言って神様はほくほく顔になった。

  そうか、華夜ちゃんを呼んでみるのも良いかもしれないなとわたしは思った。
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