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華夜ちゃんと神社へ

神様の顔がにやにや

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「お邪魔しま~す」と言いながらわたしと華夜ちゃんは拝殿に向かう。その前を狛子と狛助がぴょんぴょんと飛び跳ねるように歩いている。

  わたし達は拝殿のお賽銭箱の前に立つ。すると、神様の顔がニヤニヤしているように見えた。

「あの神様、お顔がにやけているように見えるんですけど?」

  華夜ちゃんがすかさず聞く。

「ん?  にやけてないぞ?」と神様はにまにましながら答えた。

「う~ん?  にやにやにまにましてるように見えるんだけどわたしの気のせいかな?」

  華夜ちゃんは顎に手を当てて考えている。

「余計なことは気にしないでお祈りをどうぞ~じゃ」

  神様はやっぱり頬がだらしなくゆるりと緩んでいる。わたしはどうして神様が嬉しそうなのかわかっている。だって、神様は……。

「は~い、ではお祈りをさせて頂きます」と華夜ちゃんは首を傾げつつ言った。

「わたしもお祈りさせて頂きます」

  わたしと華夜ちゃんは、鈴の緒を両手で取り鈴を鳴らした。

  それからわたし達は財布から小銭を取り出し賽銭箱にお賽銭を入れる。その後、深く頭を二回下げる。

  そして、わたしは力強くパンパンと柏手を二回打つ。華夜ちゃんも柏手を二回打つ。それから胸の高さで手を合わせわたし達は頭を下げた。

「神様いつも守ってくださりありがとうございます」とわたしは声を出してお祈りをした。

  華夜ちゃんは声を出さずにお祈りをしているようだ。

  その後、わたしも心の中で『華夜ちゃんに出逢わせてくださりありがとうございます』と言った。

  そして、顔を上げると……。

 
  もうお分かりですねと言う感じなのだけど、神様が、「うん、お金は美味しいな」と言いながら満面の笑みを浮かべ百円玉をペロペロと舐めていたのだった。

「か、神様……」
「ん?  奈夜ちゃん何だね?」

「神様って本当にお金が好きなんですね!」
「ホッホッ、俺はお金が大好きだぞ」

  神様はそう言って得意げに胸を張った。

「あ、そうなんですよね……」

  もう何も言うまい……。そう思いながらふと華夜ちゃんに目を向けると、口をぽかーんと開けていた。

  華夜ちゃんはわたしの視線に気づき、
「な、奈夜ちゃん、か、神様がお金を舐めているよ」と言いながら指差した。

「びっくりするよね。神様はお金が大好きなんだって!」

「お金が……好きなんだ。あ、そうなんだね。ふ~ん!  って、あの百円玉わたしがお賽銭箱に入れたお金かも~」

  華夜ちゃんはこれはもう驚いたと言うような声を出した。神様がお金が大好きでしかもそのお金を舐めているなんて誰でもびっくりするんじゃないかなと思う。

「ホッホッ、華夜ちゃん美味しい百円玉をありがとう。今度はお札にしてくれても良いぞ」

  神様はそう言って楽しそうに笑った。

「わ、わたしの百円玉舐めないで~」

  華夜ちゃんは叫んだ。そんな華夜ちゃんを神様は楽しそうにホッホッと笑いながら見ていた。
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