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学校と狛犬達とクラスメイトそれから……神様
神様あなたは……
しおりを挟むわたしはびっくりして口を金魚みたいにパクパクさせ神様が座っている校長先生の椅子を指差した。
「ん? 奈夜ちゃん面白い顔をしてどうしたのかな?」
神様は首を横に傾げきょとん顔でわたしを見る。
「ど、どうしたもこうしたもないですよ。校長室から椅子をかっぱらうなんて……」
「奈夜ちゃん、かっぱらうとは随分な言いようだな~」神様は唇を尖らせる。
「だって、校長先生の椅子を無断で借りるのもダメだしそれに教室に椅子があると先生もびっくりしちゃいますよ」
わたしがそう言うと神様は、
「それだったら安心しなさい。この校長室の椅子はみんなには見えないからね」と神様は得意げに胸を張った。
「見えないってどうして?」
神様の姿は見えないとしても椅子は見えるんじゃないの?
「ホッホッ! 神様のパワーで見えないようにしておるのじゃ」
「はぁ? 神様のパワー?」
わたしは疑問に思い首を傾げる。
「奈夜ちゃん、神様は特別な力を持っているのだ。深く考える必要はないぞ」
「はぁ……なんだか納得できないけどわかりました」
「うむ、わかってもらえて何よりじゃ。それと、校長先生の椅子はもう一脚あったから大丈夫だ」
そう言う問題なのかなと首を傾げたくなるけれど、みんなに見えないから良くはないけど良しとしよう。
とんでもない神様だから仕方がないと諦めることにして机に置いた教科書や筆記用具を整えていると、狛子と狛助の声が聞こえてきた。
「神様ズルいよ。わたしも椅子に座りたいよ~」
「僕も立ちっぱなしで足が痛いよ~」
狛子と狛助が言いながら神様の着物の袖をグイグイ引っ張る。
「おいおい、おまえ達引っ張るんじゃないぞ~」
「だって、神様だけ椅子に座るなんてズルいもん」
「ズルいもんってばズルいもん!」
狛子と狛助はそう言って神様の着物の袖をグイグイグイーと引っ張りまくる。
「いい加減にするのじゃ! おまえ達は立派な狛犬になる修行中ではないか。立って修行をするのだ」
神様は椅子から落っこちそうになりながら狛犬達を叱った。
納得できるようなできないような屁理屈を言っているなと思いながらわたしは神様達のやり取りを聞いていた。
こんな感じで午後の授業が始まった。
わたしは、神様と狛犬達の会話に邪魔されながら授業を受けた。前の席に座っている華夜ちゃんも時々後ろを振り返る。
そんな華夜ちゃんと目が合い、やれやれと呆れた顔をし合う。
神様達はうるさくて仕方がないけれど、華夜ちゃんと連帯感が持てたような気がしてわたしは、ちょっとだけ嬉しくなった。
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