奈良町には食いしん坊な神様と狛犬が住んでいます!

なかじまあゆこ

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学校と狛犬達とクラスメイトそれから……神様

狛犬ですよ

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「わたし達説明していいの?」
「狛子ちゃんいいみたいだよ」

  狛子と狛助は嬉しそうにきゃははと笑い合っている。もう好きにしてくださいよ。

「奈夜ちゃんてば返事しないね」
「うん、返事しないってことは説明しなさいってことだよね」

  狛子と狛助は顔を見合わせ自己完結している。

「じゃあ、お姉ちゃんに教えてあげようか」
「うん、そうしようよ」

  狛子と狛助はわたしの顔を見てにぱーっと笑いそれから見えていない森竹さんに視線を向けにぱーっと笑った。

「もう一体どうなっているの?」

  森竹さんの頭の上に『?  ?  ?マーク』が浮かんでいるように見える。

「お姉ちゃん、わたし達の姿は見えていないみたいだけど声は聞こえているんだよね?」

  狛子が森竹さんの顔をじっと見て尋ねる。

「えっ?  お姉ちゃんってわたしのことだよね?」森竹さんは自分の顔を指差し、「喋っている人の顔は見えないけど声は聞こえているよ」と言った。

「うん、お姉ちゃんのことだよ~わたしは狛犬の狛子です」
「僕は狛犬の狛助です」

  二人(二匹)は自己紹介をしてぺこりと頭を下げた。

「な、なんだか良くわからないけど、わたしは森竹 華夜かよです」

  森竹さんも自己紹介をしてぺこりと頭を下げた。

「へぇ~華夜ちゃんね。奈夜ちゃん、華夜ちゃんコンビだね~」
「僕達は狛犬コンビだよ~」

  狛子と狛助がそう言ってにぱーっと笑った。

「あ、そう言えば町屋さんも名前に『夜』が付くんだったね。狛犬ちゃん達は『狛』が付くんだね」

  なんて言って森竹さんは納得している。

「うん、何となく夜狛仲間って感じがするね。あ、それでね、わたし達は神様に奈夜ちゃんの願いを叶えてあげろって頼まれいるんだよ~」

  狛子は腰に手を当ててえっへんと胸を張る。

「奈夜ちゃんの願いを叶える?」森竹さんは不思議そうに首を横に傾げた。そして、わたしの顔を見て 「 あ、町屋さん奈夜ちゃんって呼んでもいい?」と言ってにっこりと笑った。

「う、うん。奈夜って呼んでくれると嬉しいよ」

「わ~い、じゃあ、これから奈夜ちゃんって呼ばせてもらうね。わたしのことも華夜って呼んでね~」

  森竹さんは太陽みたいな周りが明るくなるようなぽかぽかの笑顔を浮かべた。わたしはとても嬉しかった。だって、この学校に転校してきてから初めて奈夜ちゃんとクラスメイトに呼んでもらえたのだから。

「じゃあ、わたしも、か、華夜ちゃんって呼ばせてもらうね」

  わたしはちょっとだけドキドキしながら言った。だって、クラスメイトを下の名前で呼ぶのもこの学校に転校してきてから初めてだったのだから。

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