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夏休みとミケネコーンと沖縄とそして美依奈
8 この女の子は
しおりを挟むすると、くりくりっとした目が可愛らしくて高めの位置でポニーテールにしたヘアスタイルが似合っている女の子が、スイカを手に持ち立っていた
「……み、美依奈」
「久しぶりだね、夏花ちゃん」
わたしと美依奈はしばらくの間お互いの顔をじっと見ていた。
ずっと、美依奈と会いたいと思っていた。美依奈が沖縄に引っ越しをして寂しかった。だって、中学の三年間もずっと一緒にいられると思っていたのだから。
わたしの大切な友達だったのに……。
それなのに美依奈は沖縄に引っ越しをした。
「久しぶり、美依奈。スイカ割りしてるんだね」
「うん、スイカ割り楽しいよ」
美依奈はひまわりみたいな笑顔を浮かべた。
その笑顔は眩しくて沖縄の綺麗な海に溶け込んでいる。美依奈はすっかり沖縄の女の子なんだなと思うと少しだけ寂しくなった。
「そっか、そうなんだね……」
久しぶりに美依奈に会えたんだからもっと喜ばなくてはと思うのにぎこちない笑顔になってしまう。
「うん、あれ? 夏花ちゃんもスイカ食べてるの? あ、猫ちゃんがスイカを食べてるんだ!」
美依奈は目を大きく見開き言った。
「……あ、それは」とわたしが言おうとしたその時、ミケネコーンが、
「はいにゃん、ミケネコーンがスイカを食べていますにゃん。あ、ミケネコーンは猫とちゃいますにゃん。猫型怪獣ですにゃ~ん」
と言ってにゃぱにゃぱ笑った。
「猫ちゃんが喋っている!!」
「あ、これは、その……美依奈、目の錯覚かもしれないよ。うん、きっとそうだよ」
「夏花ちゃん……でも、その猫ちゃんスイカを食べているよね」
美依奈がミケネコーンをじっと見た。
またまた、わたしが返事をする前にミケネコーンが、
「ミケネコーンは猫とちゃいますにゃん怪獣ですにゃん。スイカめちゃ旨ですにゃ~ん!」と言ってスイカにかぶりついた。
わたしは、スイカを美味しそうに食べているミケネコーンを見下ろし睨んだ。
「ミケネコーンはお口のチャック忘れましたにゃん」
ミケネコーンはわたしを見上げにゃははと笑った。
「……ミケネコーンちゃんてば」
口の周りをスイカ色に染めにゃははと笑っている無邪気なミケネコーンを見ていると怒っているのもなんだか馬鹿らしく思えてきた。
「喋る猫ちゃんってなんだか楽しいね~夏花ちゃんが羨ましいな~」
美依奈は、ミケネコーンの頭をそっと撫でながら微笑みを浮かべた。
「えっ! 美依奈びっくりしないの?」
「あ、うん、びっくりしたよ。だけど、ミケネコーンちゃんがあまりにもぶさかわでいいなと思っちゃった」
美依奈は、わたしの顔と抱っこしているミケネコーンを交互に見て笑みを浮かべた。
「ミケネコーンはぶさかわとちゃいますにゃん。可愛いのですにゃん」
「あ、ぶさかわも褒め言葉なんだけどね。うん、でもミケネコーンちゃんは可愛いよ~」
美依奈はぶさかわと違うと抗議するミケネコーンの頭を撫でながら言った。
「ぶさかわも褒め言葉ですかにゃん。うにゃん、じゃあ、ぶさかわでも可愛いでもどっちでもいいですにゃん」
「あはは、ミケネコーンちゃんって面白い子だね~」
「ミケネコーンは、面白い子ですかにゃん?
あ、美依奈は夏花のお友達ですにゃん? にゃら、ミケネコーンともお友達ですにゃん」
ミケネコーンはそう言って肉球のある小さな手を差し出した。
「やった~可愛いぶさかわなお友達ができたよ~」
美依奈ははじける笑顔を浮かべミケネコーンと握手をした。
こうして、ミケネコーンと美依奈は友達になった。
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