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夏休みとミケネコーンと沖縄とそして美依奈

6 ミケネコーンは何を

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「夏花ちゃん、また、沖縄の海にきてしまったみたいだね」

「うん、そうみたいだね……この前飛ばされた波の上ビーチよりもっと綺麗な海だね」

  わたしは、真っ白な砂浜とエメラルドグリーンの海を眺めながら言った。

「でも、なんか楽しくなってきたかも」

  みっきーのツインテールの髪の毛が風に揺れた。

「みっきーてばもう驚かないんだね」

「あはは、驚くけどさ、これだけ不思議なことが起こるとこれが当たり前かなみたいになってくるじゃない」

「だよね、先ず、ミケネコーンちゃんがいること自体不思議なことだもんね。ねっ、ミケネコーンちゃん」

  わたしは、鞄の中でぐぅーぐぅー寝ているはずのミケネコーンに声をかけたんだけど、鞄の中をみるともぬけの殻だった。

「ミケネコーンちゃ~ん、どこにいるの?」

「えっ?  ミケネコーンちゃんがいないの?」

「うん、ミケネコーンちゃんも沖縄に一緒に飛ばされたはずだよね?  ってミケネコーンちゃ~ん!  あんなところに……」

  わたしは、びっくりした。 だって、ミケネコーンは……。

  砂浜で目隠しをした人が手にした棒でスイカ割りをしている。その周りで仲間達が応援している。その輪の中に何故かミケネコーンがいた。


「ミ、ミケネコーンちゃんがスイカ割りに参加しているよ」

  わたしは、ミケネコーンを指差し叫んだ。

「えっ?  ミケネコーンちゃんがスイカ割りに参加!  って本当だ~」

  わたしが指差す方向を見たみっきーもびっくりしているようだ。

「ねえ、ミケネコーンちゃんを撤収しに行かなきゃね!」

  わたしはそう言って立ち上がった。

「うん、ミケネコーンちゃんを撤収しなきゃだ~」

  みっきーもそう答え立ち上がった。

  わたし達はスイカ割り現場に向かって走った。

  どうしてミケネコーンは勝手なことばかりするのだろうか。そういえばスイカもきゅうりもウリ科だよね。って、そんなことは今はどうでもいい、なんて心の中で叫びながら砂浜を走った。

  きっと、ミケネコーンちゃんはあのスイカを狙っているはずだ。そして、美味しいですにゃんと言って満面の笑みを浮かべるに違いない。

  そんなことをすると、騒ぎになりそうだ。喋る怪獣、そして盗み食いだなんて。

「ミケネコーンちゃ~ん!」

  と、わたしは叫びながら走った。でも、ほんのちょっぴり楽しいかも。
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