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シーサーたんとミケナ

2 大好きな本屋(君の好きな本は?)

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  本屋さんにはたくさんの夢があふれている。

  人生に悩んだ時も(と言ってもまだ悩むほど生きていないけれど)悲しい時もそして、嬉しい時も本屋さんの店内をぐるぐるまわるだけでも楽しい時間を過ごすことができる。

  それに今日は、みっきーにそれからミケネコーンも一緒だ。

「わたし、本が大好きなんだ」

「わたしもだよ。夏花ちゃんはどんな本を読むの?」

  みっきーが文庫本をぺらぺらめくりながら聞いてきた。

「うん、とくに決まってないよ。何でも好きだよ~青春小説、ミステリー、ファンタジーにホラーもいろいろだよ~」

「そっか、わたしもいろんな分野の小説も漫画も様々だよ~」

  みっきーはそう言って笑った。

「あはは、同じだね」

「うん、なんだかわたし達似ているよね」

「あ、みっきー、それ、アガサクリスティの小説だね」

  わたしは、みっきーが手にしている小説に視線を向けて言った。

「うん、このミステリー小説に出てくるポアロが好きなんだ」

「あ、わたしも好きだよ。ポアロって優れた洞察力がある灰色の脳細胞を持っているって自認してるめちゃくちゃ自信家な探偵なんだよね」

「うんうん、そうそうそれがなんだか面白いよね。それに謎もわくわくドキドキするよね」

「うん、するね。本格推理だもんね」

  わたしとみっきーはそう言って笑い合った。

  その時、ミケネコーンが「ミケネコーンは食べ物が占領している脳細胞を持っていますにゃん」と言った。


  「えっ?  食べ物が占領している脳細胞って何よそれ」

  わたしは、鞄の中から顔をにょきにょきと出しているミケネコーンの顔を見て笑った。

「あははっ、ミケネコーンちゃんは食べ物のことばかりなんだね」

  みっきーも笑いそして、わたしの鞄から顔を出しているミケネコーンの天井を向いた鼻をツンツンとした。

「うにゃん?  ちゃいましたかにゃん?」

「うん、ちょっと違うかな」

「まあ、同じ脳細胞だけどね。もっと知的な脳細胞だよ」

  わたしとみっきーは顔を見合わせて笑い合った。

「そうでしたかにゃん。あ、本でしたらミケネコーンはお料理の本が好きですにゃん」

  ミケネコーンはそう言ってヨダレを垂らした。

「えっ?  ミケネコーンちゃんはお料理するのかな」

  わたしが聞くとミケネコーンは、

「お料理はしませんにゃん」と即答した。

「じゃあ、お料理の本を眺めてるだけなの?」

「うにゃん、ちゃいますにゃん。お母ちゃまに作ってくださいにゃんとお願いしますにゃん」

  そう言ってミケネコーンはにゃぱにゃぱと笑った。
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