沖縄のシーサーとミケネコーンとわたしの楽しい冒険をどうぞ~

なかじまあゆこ

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シーサーたんと怪獣界のお父ちゃまとミケネコーン

5 ミケネコーン君は異世界の怪獣王国からやって来たんだね

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  わたし達は慌てて学校に戻った。すると、校庭には人っ子一人いなかった。校舎に入り廊下を歩くと授業中の廊下はシーンと静まり返っていた。

「授業が始まっているみたいだね」

「うん、わたし達が沖縄の海で泳いでいるうちに授業が始まってしまったみたいだね」

  みっきーは声を潜めて話した。

「ミケネコーンはぷかぷかにゃんをしましたにゃん」

  ミケネコーンは普通の音量で話すものだから声が廊下に響き渡った。

「ミケネコーンちゃんってば~シーッだよ」とわたしとみっきーは唇に人差し指を当てた。

「あらまにゃん、ミケネコーンとしたことがにゃん」と裂けたお口から舌を出した。




  それからシーンと静まり返った廊下を無言で歩き教室のドアをそっと開けると先生とクラスメイト達が一斉に振り返った。

 わたしとみっきーは放課後先生に職員室に呼び出された。まさか沖縄に行っていたなんて言えないのでお腹が痛くなってトイレにこもっていましたと言った。

  嘘をつくことも後ろめたいしそれにトイレにこもっていたなんてちょっと恥ずかしい。

 シーサーたん恨むよ。先生には許してもらい家路に着いた。

「みっきーまた明日ね」
「みっきーまた明日ですにゃん」
  わたしの家の前で手を振った。

「うん、また明日ね。ミケネコーンちゃんは明日も学校に登校するんだ」

  みっきーはクスクスと笑いながら手を振った。わたしとミケネコーンは手を振りながらみっきーの後ろ姿を見送った。


  
  今日は中身の濃い一日だった。ミケネコーンと学校に登校してみっきーと友達になり屋上でお弁当を一緒に食べた。

  それから、沖縄にタイムスリップ(怪獣王の魔法なのかな?)をした。

  夕食をもりもり食べて自室に戻るとなんだか帰って来たなという気持ちになった。

「ミケネコーンちゃん、長い一日だったね」

「はいにゃん。ご飯をたくさん食べて沖縄の海でぷかぷかにゃんをしてまたご飯をもりもり食べましたにゃん」

「あははっ、ミケネコーンちゃんは食べてばかりだね」

  わたしはクスクスと笑いながらミケネコーンのぶさかわな顔を見た。

「はいにゃん。ミケネコーンは食べることが大好きですにゃん」

  なんて言って胸を張る。

「修行なんて全然していないね」

「ミケネコーンは修行なんてしませんにゃん。でも、ミケネコーンはお父ちゃまとお母ちゃまにそれからお姉ちゃまに会えなくて寂しいですにゃん」

  そう言って顔からはみ出しそうな目から涙がぽろりとこぼれた。

「ミケネコーンちゃん、鳴かないでよ」

  わたしは、机の上からティッシュを取りミケネコーンの涙で濡れた頬を拭いてあげた。

「……夏花、ミケネコーンはお父ちゃまに会いたいですにゃん」

「そうだよね。寂しいよね」

  こんなに小さな猫のような怪獣が怪獣界(地球ではない怪獣界)から舞い降りて来てひとりぼっちなんだもんね。

  わたしだったら一日中わんわん泣いているかもしれない。

  それを思うとミケネコーンちゃんが可哀想になりそして、ご飯をたくさん食べるのも仕方がないなと思った。
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