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学校とわたしとミケネコーン

8 ミッキー

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「ありがとうですにゃん」

  わたしと三木田さんが口の周りを拭き拭きしてあげるとミケネコーンは嬉しそうににゃぱにゃぱと笑顔を浮かべた。

  ミケネコーンのその顔は不細工なのに愛嬌があり可愛らしかった。

  最近の楽しみは本を読むことくらいだったけれど、ミケネコーンの笑顔とそれから三木田さんとこうして一緒にミケネコーンの口の周りを拭き拭きしていると昔からの友達のように思えてくる。

  三木田さんにわたしと似たものを感じた。

「本屋さんで真川さんを見かけたんだよ」

「えっ?  本屋さんでわたしを?」

「うん、沖縄の本を見ていたでしょ?  わたしもその本が欲しくて買おうかなと思っていたんだ」 

  三木田さんは目をキラキラと輝かせている。

「そうだったんだね」

「うん、声をかけようかなと思ったけどかけられなかった」

「どうして?」

「だって、ちゃんと話したことがなかったから。わたしこれでも人見知りしちゃうんだよ」

  三木田さんはそう言って笑った。


  
  三木田さんも沖縄の本に興味を持っていたんだ。なんだかちょっとびっくりしてわたしは三木田さんの顔をじっと見てしまった。

「真川さんとはなんとなく気が合うかなと思ったんだ」

  わたしの顔を見返した三木田さんはにっこり笑った。

「それはとっても嬉しいよ。わたしと三木田さん気が合うかもしれないね」

  わたしもにっこりと笑顔を浮かべた。

  美依奈以外に友達なんかいらないと思っていたけれど三木田さんと友達になりたいなと思った。

「ねえ、夏花ちゃんって呼んでもいいかな? 
 わたしのことも文代ふみよと呼んでくれても良いしそれかみっきーでもいいよ」

  三木田さんはちょっと照れたような笑顔を浮かべた。

「あ、うん。夏花って呼んでいいよ。じゃあ、わたしもみっきーって呼ぶね」

「うん、夏花ちゃん、文代はちょっとダサいからみっきーって呼んでくれて嬉しいな~」

「文代ちゃんも可愛いけどみっきーはもっと可愛い呼び名だもんね」

「うふふ、夏花ちゃんありがとう」

  久しぶりに夏花ちゃんと呼んでもらえてわたしは嬉しかった。ほくほくな笑顔をになっていたその時……。

「ミケネコーンが蚊帳の外になっていますにゃ~ん!!」

  ミケネコーンがにゃんにゃんと叫んだ。
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