5 / 66
プロローグ こんにちはミケネコーンとシーサーと大好きな本
5 夏花は困ってしまう
しおりを挟む
「あのね、ミケネコーンちゃんってば何ですかにゃんじゃないよ」
「うにゃん? 夏花どうしましたかにゃん」
ミケネコーンはお口の周りにドーナツの食べかすをくっつけたままの状態で首を傾げている。
「シーサーが喋っているんだよ」
「シーサーが喋っているんですねにゃん」
「もう、ミケネコーンちゃんに用事があるみたいなんだよ」
わたしは、門柱の上に置かれているシーサーを指差して言った。
「そうなんですかにゃん」
ミケネコーンはくるりとシーサーに視線を向けた。その時、
「ならん! ミケネコーンを甘やかしてはならんのじゃーーーーー!!」と叫んだシーサーの甲高くてちょっと間抜けな声が響き渡った。
「ミケネコーンを甘やかしてはならんとは何ですかにゃん?」
きょとんと首を傾げるミケネコーンを無視してシーサーが「良いか、夏花ちゃん!」と言った。
「えっと、シーサーわたしに言っているのかな?」
シーサーのギョロとしたその目はわたしを見ているしそれに夏花ちゃんと言っているではないか。
「そうじゃ、この間抜けなミケネコーンのお父上がミケネコーンに修行をするようにと言っておられたのじゃ~!」
やっぱりシーサーの声はちょっと甲高くて間抜けな声だよ。
「……はぁ、そうですか? ってわたしに言われても困るよ」
「いいえ、夏花ちゃん、君はミケネコーンの良き相棒じゃ~!」
シーサーは『~じゃ~』と言っているんだけど真面目なのかふざけているのか良く分からない。
それに今もむしゃむしゃにゃんとドーナツを食べているミケネコーンが良き相棒だなんて思えないし、ってちょっと待ってよ。
ミケネコーンはいつの間にかヨーグルトを食べているではないか。
それはわたしのヨーグルトだよ。
「ミケネコーンちゃん!! 返して!」
「うにゃん?」
「うにゃんじゃないでしょ」
「うにゃにゃん? にゃんをプラスしましたにゃん」
ミケネコーンは首を傾げてわたしの顔を見た。その顔は言うまでもなくヨーグルトまみれになっていた。
「にゃんをプラスしましたにゃんじゃないよ」
「うにゃにゃんにゃん! 夏花の鞄にヨーグルトが入っていたので食べましたにゃん」
そう言って笑うミケネコーンに呆れて言葉も出ない。
「夏花ちゃん、このミケネコーンを修行の旅に連れ出すのじゃ~」
ああ、もう駄目だ。わたしの頭はくらくらしてきた。
「うにゃん? 夏花どうしましたかにゃん」
ミケネコーンはお口の周りにドーナツの食べかすをくっつけたままの状態で首を傾げている。
「シーサーが喋っているんだよ」
「シーサーが喋っているんですねにゃん」
「もう、ミケネコーンちゃんに用事があるみたいなんだよ」
わたしは、門柱の上に置かれているシーサーを指差して言った。
「そうなんですかにゃん」
ミケネコーンはくるりとシーサーに視線を向けた。その時、
「ならん! ミケネコーンを甘やかしてはならんのじゃーーーーー!!」と叫んだシーサーの甲高くてちょっと間抜けな声が響き渡った。
「ミケネコーンを甘やかしてはならんとは何ですかにゃん?」
きょとんと首を傾げるミケネコーンを無視してシーサーが「良いか、夏花ちゃん!」と言った。
「えっと、シーサーわたしに言っているのかな?」
シーサーのギョロとしたその目はわたしを見ているしそれに夏花ちゃんと言っているではないか。
「そうじゃ、この間抜けなミケネコーンのお父上がミケネコーンに修行をするようにと言っておられたのじゃ~!」
やっぱりシーサーの声はちょっと甲高くて間抜けな声だよ。
「……はぁ、そうですか? ってわたしに言われても困るよ」
「いいえ、夏花ちゃん、君はミケネコーンの良き相棒じゃ~!」
シーサーは『~じゃ~』と言っているんだけど真面目なのかふざけているのか良く分からない。
それに今もむしゃむしゃにゃんとドーナツを食べているミケネコーンが良き相棒だなんて思えないし、ってちょっと待ってよ。
ミケネコーンはいつの間にかヨーグルトを食べているではないか。
それはわたしのヨーグルトだよ。
「ミケネコーンちゃん!! 返して!」
「うにゃん?」
「うにゃんじゃないでしょ」
「うにゃにゃん? にゃんをプラスしましたにゃん」
ミケネコーンは首を傾げてわたしの顔を見た。その顔は言うまでもなくヨーグルトまみれになっていた。
「にゃんをプラスしましたにゃんじゃないよ」
「うにゃにゃんにゃん! 夏花の鞄にヨーグルトが入っていたので食べましたにゃん」
そう言って笑うミケネコーンに呆れて言葉も出ない。
「夏花ちゃん、このミケネコーンを修行の旅に連れ出すのじゃ~」
ああ、もう駄目だ。わたしの頭はくらくらしてきた。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
【完結】アシュリンと魔法の絵本
秋月一花
児童書・童話
田舎でくらしていたアシュリンは、家の掃除の手伝いをしている最中、なにかに呼ばれた気がして、使い魔の黒猫ノワールと一緒に地下へ向かう。
地下にはいろいろなものが置いてあり、アシュリンのもとにビュンっとなにかが飛んできた。
ぶつかることはなく、おそるおそる目を開けるとそこには本がぷかぷかと浮いていた。
「ほ、本がかってにうごいてるー!」
『ああ、やっと私のご主人さまにあえた! さぁあぁ、私とともに旅立とうではありませんか!』
と、アシュリンを旅に誘う。
どういうこと? とノワールに聞くと「説明するから、家族のもとにいこうか」と彼女をリビングにつれていった。
魔法の絵本を手に入れたアシュリンは、フォーサイス家の掟で旅立つことに。
アシュリンの夢と希望の冒険が、いま始まる!
※ほのぼの~ほんわかしたファンタジーです。
※この小説は7万字完結予定の中編です。
※表紙はあさぎ かな先生にいただいたファンアートです。
忠犬ハジッコ
SoftCareer
児童書・童話
もうすぐ天寿を全うするはずだった老犬ハジッコでしたが、飼い主である高校生・澄子の魂が、偶然出会った付喪神(つくもがみ)の「夜桜」に抜き去られてしまいます。
「夜桜」と戦い力尽きたハジッコの魂は、犬の転生神によって、抜け殻になってしまった澄子の身体に転生し、奪われた澄子の魂を取り戻すべく、仲間達の力を借りながら奮闘努力する……というお話です。
※今まで、オトナ向けの小説ばかり書いておりましたが、
今回は中学生位を読者対象と想定してチャレンジしてみました。
お楽しみいただければうれしいです。
おなら、おもっきり出したいよね
魚口ホワホワ
児童書・童話
ぼくの名前は、出男(でるお)、おじいちゃんが、世界に出て行く男になるようにと、つけられたみたい。
でも、ぼくの場合は、違うもの出ちゃうのさ、それは『おなら』すぐしたくなっちゃんだ。
そんなある日、『おならの妖精ププ』に出会い、おならの意味や大切さを教えてもらったのさ。
やっぱり、おならは、おもっきり出したいよね。
【完結】魔法道具の預かり銀行
六畳のえる
児童書・童話
昔は魔法に憧れていた小学5学生の大峰里琴(リンコ)、栗本彰(アッキ)と。二人が輝く光を追って最近閉店した店に入ると、魔女の住む世界へと繋がっていた。驚いた拍子に、二人は世界を繋ぐドアを壊してしまう。
彼らが訪れた「カンテラ」という店は、魔法道具の預り銀行。魔女が魔法道具を預けると、それに見合ったお金を貸してくれる店だ。
その店の店主、大魔女のジュラーネと、魔法で喋れるようになっている口の悪い猫のチャンプス。里琴と彰は、ドアの修理期間の間、修理代を稼ぐために店の手伝いをすることに。
「仕事がなくなったから道具を預けてお金を借りたい」「もう仕事を辞めることにしたから、預けないで売りたい」など、様々な理由から店にやってくる魔女たち。これは、魔法のある世界で働くことになった二人の、不思議なひと夏の物語。
魔法少女はまだ翔べない
東 里胡
児童書・童話
第15回絵本・児童書大賞、奨励賞をいただきました、応援下さった皆様、ありがとうございます!
中学一年生のキラリが転校先で出会ったのは、キラという男の子。
キラキラコンビと名付けられた二人とクラスの仲間たちは、ケンカしたり和解をして絆を深め合うが、キラリはとある事情で一時的に転校してきただけ。
駄菓子屋を営む、おばあちゃんや仲間たちと過ごす海辺の町、ひと夏の思い出。
そこで知った自分の家にまつわる秘密にキラリも覚醒して……。
果たしてキラリの夏は、キラキラになるのか、それとも?
表紙はpixivてんぱる様にお借りしております。
夢の中で人狼ゲーム~負けたら存在消滅するし勝ってもなんかヤバそうなんですが~
世津路 章
児童書・童話
《蒲帆フウキ》は通信簿にも“オオカミ少年”と書かれるほどウソつきな小学生男子。
友達の《東間ホマレ》・《印路ミア》と一緒に、時々担任のこわーい本間先生に怒られつつも、おもしろおかしく暮らしていた。
ある日、駅前で配られていた不思議なカードをもらったフウキたち。それは、夢の中で行われる《バグストマック・ゲーム》への招待状だった。ルールは人狼ゲームだが、勝者はなんでも願いが叶うと聞き、フウキ・ホマレ・ミアは他の参加者と対決することに。
だが、彼らはまだ知らなかった。
ゲームの敗者は、現実から存在が跡形もなく消滅すること――そして勝者ですら、ゲームに潜む呪いから逃れられないことを。
敗退し、この世から消滅した友達を取り戻すため、フウキはゲームマスターに立ち向かう。
果たしてウソつきオオカミ少年は、勝っても負けても詰んでいる人狼ゲームに勝利することができるのだろうか?
8月中、ほぼ毎日更新予定です。
(※他小説サイトに別タイトルで投稿してます)
今、この瞬間を走りゆく
佐々森りろ
児童書・童話
【第2回きずな児童書大賞 奨励賞】
皆様読んでくださり、応援、投票ありがとうございました!
小学校五年生の涼暮ミナは、父の知り合いの詩人・松風洋さんの住む東北に夏休みを利用して東京からやってきた。同い年の洋さんの孫のキカと、その友達ハヅキとアオイと仲良くなる。洋さんが初めて書いた物語を読ませてもらったミナは、みんなでその小説の通りに街を巡り、その中でそれぞれが抱いている見えない未来への不安や、過去の悲しみ、現実の自分と向き合っていく。
「時あかり、青嵐が吹いたら、一気に走り出せ」
合言葉を言いながら、もう使われていない古い鉄橋の上を走り抜ける覚悟を決めるが──
ひと夏の冒険ファンタジー
魔法アプリ【グリモワール】
阿賀野めいり
児童書・童話
◆異世界の力が交錯する町で、友情と成長が織りなす新たな魔法の物語◆
小学5年生の咲来智也(さくらともや) は、【超常事件】が発生する町、【新都心:喜志間ニュータウン】で暮らしていた。夢の中で現れる不思議な青年や、年上の友人・春風颯(はるかぜはやて)との交流の中でその日々を過ごしていた。
ある夜、町を突如襲った異変──夜にもかかわらず、オフィス街が昼のように明るく輝く事件が発生する。その翌日、智也のスマートフォンに謎のアプリ【グリモワール】がインストールされていた。消そうとしても消えないアプリ。そして、智也は突然見たこともない大きな蛇に襲われる。そんな智也を救ったのは、春風颯だった。しかも彼の正体は【異世界】の住人で――。
アプリの力によって魔法使いとなった智也は、颯とともに、次々と発生する【超常事件】に挑む。しかし、これらの事件が次第に智也自身の運命を深く絡め取っていくことにまだ気づいていなかった――。
※カクヨムでも連載しております※
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる