上 下
9 / 12

可愛らしいメニュー表

しおりを挟む

 そのメニュー表は猫の肉球イラストスタンプが所々にペタペタと押されていてとても可愛らしくてなんだか和む。それに手書きのイラスト入りのメニューにも癒される。

 オムライス、カレーライス、ナポリタン、ハンバーグ、グラタン、プリン等の定番メニューから和風なお茶漬け、白玉クリームあんみつ、ぜんざい、安倍川餅セット、おはぎにほうじ茶、抹茶、緑茶等、和風から洋風まで取り揃えられていた。

「なんかメニュー表を眺めているだけで幸せになります。うふふ美味しそうだな」

 それに、メニュー表を眺めているだけでヨダレが垂れそうになる。

「それはありがとうにゃん」

 この美しき店員さんの猫語はサービスなのだろうか。そういうことにしておこうとわたしは一人頷く。

「う~ん、何を食べるか迷ってしまうな。オムライスもカレーライスもグラタンも食べたいし、ぜんざいやおはぎにお茶漬けも食べたいな」

 わたしは猫語を使う不思議な店員さんが近くにいることも忘れメニュー表とにらめっこしてしまう。

 あれも食べたいこれも食べたいと迷ってしまうのはわたしの悪いクセだ。

「おい、お客様。何分悩まれるんですかにゃん?」

「あ、猫語店員さんいたんですね」
 
「さっきからずっといるぞにゃん。それに猫語店員さんとなんだよにゃん」

 猫語店員さんは美しい顔を歪めわたしを見た。

「はいはい、食べたいものを決めます。では、カレーライスとおはぎに緑茶をお願いします」

 わたしは、猫語店員さんのその顔が怖いので急いでメニューを選んだ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

久しぶりにおばあちゃんのお好み焼きが食べたいな

なかじまあゆこ
キャラ文芸
駅のホームでずっこけたり職場に行くと『申し訳ないのですが業績悪化の為今回で契約終了です』と言われて職を失ったりと散々な一日だった佐波は、久しぶりにおばあちゃんの料理が食べたいなと思った。 けれど、もうこの世におばあちゃんはいない。 「おばあちゃんに会いたいよ」と叫んだ佐波の前に「わたしのことを呼びましたか?」と現れたのは……。 ツインテールが可愛らしい女の子ひよこだった。 そして、ひよこ連れて来られたお店「ひよこ」にはイケメンオーナーの神本がいた。 不思議なお店「ひよこ」で繰り広げられる笑いと涙とほっこりの世界にようこそ。 ひよことオーナー神本は……実は。 どうぞよろしくお願いします(^-^)/

天之琉華譚 唐紅のザンカ

ナクアル
キャラ文芸
 由緒正しい四神家の出身でありながら、落ちこぼれである天笠弥咲。 道楽でやっている古物商店の店先で倒れていた浪人から一宿一飯のお礼だと“曰く付きの古書”を押し付けられる。 しかしそれを機に周辺で不審死が相次ぎ、天笠弥咲は知らぬ存ぜぬを決め込んでいたが、不思議な出来事により自身の大切な妹が拷問を受けていると聞き殺人犯を捜索し始める。 その矢先、偶然出くわした殺人現場で極彩色の着物を身に着け、唐紅色の髪をした天女が吐き捨てる。「お前のその瞳は凄く汚い色だな?」そんな失礼極まりない第一声が天笠弥咲と奴隷少女ザンカの出会いだった。

あやかし様のお世話係

香月しを
キャラ文芸
都会に疲れて田舎に帰った天涯孤独な直之。閉鎖的な村で、村役場から、『あやかし』様の世話を住み込みでやらないかと提案される。 長く生きているのにどこか子供のような我儘を言い、大雑把で天邪鬼な、超絶美形の『あやかし』のあやさん(性別不明)と、少し心が疲れてしまっていたが、段々と明るい性格を取戻す直之。 自分にしか見えない建物や、過去を思い出そうとすると酷い頭痛に襲われる直之は、だんだんと、あやかしの世界に足を踏み入れていく。

ゴールドの来た日

青夜
キャラ文芸
人間と犬との、不思議な愛のお話です。 現在執筆中の、『富豪外科医は、モテモテだが結婚しない?』の中の話を短編として再構成いたしました。 本編ではこのような話の他、コメディ、アクション、SF、妖怪、ちょっと異世界転移などもあります。 もし、興味を持った方は、是非本編もお読み下さい。 よろしくお願いいたします。

モノの卦慙愧

陰東 愛香音
キャラ文芸
「ここじゃないどこかに連れて行って欲しい」   生まれながらに異能を持つひなは、齢9歳にして孤独な人生を強いられた。  学校に行っても、形ばかりの養育者である祖父母も、ひなの事を気味悪がるばかり。  そんな生活から逃げ出したかったひなは、家の近くにある神社で何度もそう願った。  ある晩、その神社に一匹の神獣――麒麟が姿を現す。  ひなは彼に願い乞い、現世から彼の住む幽世へと連れて行ってもらう。 「……ひな。君に新しい世界をあげよう」  そんな彼女に何かを感じ取った麒麟は、ひなの願いを聞き入れる。  麒麟の住む世界――幽世は、現世で亡くなった人間たちの魂の「最終審判」の場。現世での業の数や重さによって形の違うあやかしとして、現世で積み重ねた業の数を幽世で少しでも減らし、極楽の道へ進める可能性をもう一度自ら作るための世界。  現世の人のように活気にあふれるその世界で、ひなは麒麟と共に生きる事を選ぶ。  ひなを取り巻くあやかし達と、自らの力によって翻弄される日々を送りながら、やがて彼女は自らのルーツを知ることになる。

ゆりゆりちゃんともふもふさま

戸森鈴子 tomori rinco
キャラ文芸
小さなゆりちゃんは、ある日 狐の大きな耳と尻尾の生えた神様「もふもふさま」と会う。 寂しい少女の心を癒やす、もふもふさまとのほっこりライフ。

【完結】陰陽師は神様のお気に入り

綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
キャラ文芸
 平安の夜を騒がせる幽霊騒ぎ。陰陽師である真桜は、騒ぎの元凶を見極めようと夜の見回りに出る。式神を連れての夜歩きの果て、彼の目の前に現れたのは―――美人過ぎる神様だった。  非常識で自分勝手な神様と繰り広げる騒動が、次第に都を巻き込んでいく。 ※注意:キスシーン(触れる程度)あります。 【同時掲載】アルファポリス、カクヨム、エブリスタ、小説家になろう ※「エブリスタ10/11新作セレクション」掲載作品

星降る夜に神様とまさかの女子会をしました

あさの紅茶
キャラ文芸
中学の同級生と偶然再会して、勢いのままお付き合いを始めたけれど、最近ほんとすれ違いばかり 専門学校を卒業して社会人になった私 望月 葵 モチヅキ アオイ (21) 社会人になってすっかり学生気分の抜けた私と、まだまだ学生気分の彼 久しぶりのデートでケンカして、真っ暗な山奥に置き去りにするとか、マジありえない 路頭に迷う私に手を差しのべてくれたのは、綺麗な山の神様だった そして… なぜか神様と女子会をすることになりました どういうこと?! ********** このお話は、他のサイトにも掲載しています

処理中です...