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三毛猫が店員さん

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「猫が喋ったってお客さんなんかちょっと失礼ですにゃん」

 三毛猫はぷりぷり怒った声を出す。

「あの、猫さんはお喋りが出来るんですね……」

 なんて猫を相手に問いかけるわたしは間抜けだけど、実際あの三毛猫が声を出し話をしているとしか思えないのだから仕方あるまい。

「そうですよ。看板にもこたつのある猫喫茶店へようこそと書いてあったでしょうにゃん」

「そう言えば確かに……」

「ですよね。だから三毛猫の俺がいるんですにゃん」

 三毛猫は得意げに答えた。ってちょっと待ってください。

「俺って猫さんは男の子なんですか? 三毛猫なのに」

「まあ、三毛猫の雄は珍しいですにゃんね。と言うか男の子って俺は何百年も生きているんだぞ」

「はぁ? 何百年ですか。またまたご冗談を……」

「冗談じゃありませんよ。俺は何百年も生きていますからにゃん。まあそれはどっちでもいいですよ。それよりようこそにゃん。こたつ席へどうぞにゃん」

 三毛猫はそう言いながら顔をこたつ席へと向けた。

「わっ、わたしこたつ席に座りたかったんですよ」

 わたしの頬はゆるゆると緩む。そんな単純な自分自身に呆れつつ弾む足取りでこたつ席へと向かう。ウキウキワクワクしちゃう。

 そして、こたつに足を入れるとあたたかくてほっこり気分になる。なんだかもう幸せだ。それにうふふ、おばあちゃんと一緒に入ったこたつを思い出すな。   

 こたつの上に置かれたみかんを食べたり食事もしたな。そんな懐かしき思い出に浸り幸せなんだけれど、それと同時におばあちゃんともう会えないと思うとなんとも言えない気持ちがじわじわと込み上げてくる。

「お客さんどうしましたかにゃん?」

「なんでもないですよ。ちょっと懐かしくて……って! ちょっと猫さんどうしてこたつに入っているんですか? 店員さんなんですよね」

 そうなのだ。この三毛猫はこたつに入りごろんと寝転んでいるのだった。

 
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