あやかし猫がいるこたつがある喫茶店にようこそ!

なかじまあゆこ

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こたつのある猫喫茶店へようこそ

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 憂鬱な気持ちを抱えたままわたしはタイムカードを押す。

「永久ちゃんまた、明日~」と同僚のホミちゃんが手を振る。わたしも「ホミちゃんお疲れ様~また、明日ね」と手を振り返す。

 職場のビルを出るとすっかり夜空が広がっていた。

 このまま真っ直ぐ帰ろうかなと思ったけれど、寄り道することにした。ほっと落ち着くことが出来る飲食店があればいいなと思いながら夜道をぶらぶら歩く。

 気がつくと人で賑わう繁華街から風情のあるの路地裏にわたしは、足を踏み入れていた。

 そこは江戸時代の名残が感じられる黒塀に囲まれた情緒ある美しい街並みが広がっていた。

「わっ、知らなかった。こんな場所があったんだ」とわたしは思わず声に出してしまう。

 なんだか懐かしき世界にタイムスリップでもしてきたみたいだとわくわくしてきた。美味しいご飯が食べられる店はないかな? 辺りをキョロキョロと見渡していると、『こたつのある猫喫茶へようこそ』と書かれた看板が目に入る。

 こたつと猫の文字にわたしの心はグイグイと引き込まれそうになる。

 というかもう引き込まれていた。気がつくとわたしはそのこたつのある猫喫茶店にようこその前に立っていたのだ。

「ようこそ、こたつのある猫喫茶店へ~」

 どこかからそんな声が聞こえてきたような気がした。あはは、空耳まで聞こえちゃったと思うと可笑しくなる。わたしはその喫茶店の引き戸をガラガラと開けた。

「お邪魔します」

 

 
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