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冴えない日々
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「ねえ、森道さん何してるの?」
その声に振り返るとわたしの真後ろに東野さんが立っていた。
「え? 何をって通話内容を入力しているんですけど……ちょっとクレームがあったので」
「あのね、今入電がたくさん入っているのよ。適当に入力して早く次の電話を受けてもらわないと困るのよ。お客様が待っているんだからね」
東野さんは目を三角にして怒っている。
「はい、わかりました……」
わたしはわかりましたと答えながら、先日通話内容を細かく入力してよねと言ってたくせにころころ変えないでよねと呆れる。
「まったくトロくて嫌になるわ。じゃあ、よろしくね」
「はい」
ぷりぷり怒りながらわたしの前から立ち去る東野さんの後ろ姿を眺めながらわたしは盛大に溜め息をつく。
さて、早く入力を済ませて次の電話を受けなくてはと急いで通話内容を入力する。
そして、応答可能にした途端プルループルルーと着信音が鳴った。
「お待たせいたしました。ニコニコ文具通販、森道が承ります」
わたしは明るい声で電話に出た。
高校を卒業した五年前からわたしはこのコールセンターで働いている。もう五年も経つのか。早いな……。
おばあちゃんが亡くなったのとほぼ同時期だったので、この会社に入りたいと強い希望があったわけではなく入社した。
だからといって適当に仕事をしているなんてこともない。それなのに仕事は認めてもらえないし、東野さんには嫌味ばかり言われる毎日なのだ。
この仕事は向いていないのかなと考えてしまう近頃だったのだ。
その声に振り返るとわたしの真後ろに東野さんが立っていた。
「え? 何をって通話内容を入力しているんですけど……ちょっとクレームがあったので」
「あのね、今入電がたくさん入っているのよ。適当に入力して早く次の電話を受けてもらわないと困るのよ。お客様が待っているんだからね」
東野さんは目を三角にして怒っている。
「はい、わかりました……」
わたしはわかりましたと答えながら、先日通話内容を細かく入力してよねと言ってたくせにころころ変えないでよねと呆れる。
「まったくトロくて嫌になるわ。じゃあ、よろしくね」
「はい」
ぷりぷり怒りながらわたしの前から立ち去る東野さんの後ろ姿を眺めながらわたしは盛大に溜め息をつく。
さて、早く入力を済ませて次の電話を受けなくてはと急いで通話内容を入力する。
そして、応答可能にした途端プルループルルーと着信音が鳴った。
「お待たせいたしました。ニコニコ文具通販、森道が承ります」
わたしは明るい声で電話に出た。
高校を卒業した五年前からわたしはこのコールセンターで働いている。もう五年も経つのか。早いな……。
おばあちゃんが亡くなったのとほぼ同時期だったので、この会社に入りたいと強い希望があったわけではなく入社した。
だからといって適当に仕事をしているなんてこともない。それなのに仕事は認めてもらえないし、東野さんには嫌味ばかり言われる毎日なのだ。
この仕事は向いていないのかなと考えてしまう近頃だったのだ。
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