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大好きなわたしのおばあちゃん
しおりを挟むわたし森道永久の大好きだったおばあちゃんは五年前に亡くなった。両親は離婚して母親がわたしを引き取った。けれど、母親は自由奔放な人でわたしが十歳になったある日姿を消した。
そんな母親の代わりにおばあちゃんがわたしを育ててくれた。よく遊びに行っていたおばあちゃんの家がわたしの住まいになった。
「永久はわたしの宝物だよ」と言っておばあちゃんはほわほわとした柔らかい微笑みを浮かべた。
それがとても嬉しくてたまらなかった。
「おばあちゃんは永久の宝物だよ」
わたしもおばあちゃんと同じ台詞を口にしてみる。すると、本当におばあちゃんはわたしにとって大切な人だということがわかった。
「うふふ、永久ちゃんありがとう」
おばあちゃんはシワだらけの手を伸ばしわたしの頭を優しく撫でてくれた。その手はとてもあたたかくて心地良かった。
わたしはおばあちゃんに愛されている。両親なんて必要ない。ずっと、ずっと、おばあちゃんがわたしのそばにいてくれたら他に何もいらない。
そう思っていたのに……。おばあちゃんは、わたしが十八歳の時に亡くなった。
「おばあちゃん、どうしてわたしを置いて逝ってしまったの? ねえ、おばあちゃん。わたしは哀しいよ」
と泣き叫んだ。
もちろん十八歳になっていたわたしはおばあちゃんとの時間が永遠に続くなんて思ってはいなかったけれど。
それでももう少しわたしのそばにいてほしかった。
そして。
「永久はわたしの宝物だよ」と言ってくれたあの声をもう一度聞きたかった。
おばあちゃんとの懐かしい思い出が書かれた日記のページに目を落とし「おばあちゃんに会いたいな」とわたしは呟いた。
「わたしも永久ちゃんに会いたいわ」
そんな声が日記帳から聞こえてきた気がした。
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