13 / 44
あの子の影に怯えて
みんな
しおりを挟む春花ちゃんとおしゃべりをしていると、続々と元同級生の皆がやって来た。
すみれに、京香ちゃんは眠そうな顔をしている。太郎はあくびをしながら寝癖のついたままの髪型でやって来た。だらしない。
食堂は一気に賑やかになった。わたしの幽霊騒動は明るい皆のお陰で少しは忘れることができた。だけど、夜になるとどうなることやら。
「おっはよ~」
花音ちゃんもやって来た。
「なんかさー、凄く雪がどっさり積もっているよ」
花音ちゃんは、ポテトチップスの袋を手に持ち、バリバリ食べながら言った。
これから朝食だというのにポテトチップスってどれだけ食べるんだ。
それはそうと、わたしは昨日の夜の出来事で頭がいっぱいになり、窓の外を見る余裕もなかった。確か、日差しがカーテンの隙間から届いていたと思うけれど、昨夜のうちに降り積もったのかな。
観光とかできるのかな?
わたしは気になり、窓の外を確認した。すると、窓の外に見えるその世界は凄まじい雪一面の銀世界が広がっていた。
凄い積雪量だ。絶対に一メートルは越えている。いや、一メートルではきかないと思う。建物が雪で埋もれてしまいそうだよ。
「花音ちゃん、凄いよ雪」
わたしは、花音ちゃんの方を振り返り言った。
「ね、凄いでしょ。雪遊びしようよ」
花音ちゃんはポテトチップスの袋を手に持ち、子供のような無邪気な笑顔で微笑んだのだ。
皆で和やかに朝食タイムを過ごした。花音ちゃんは食パンにベッタリとイチゴジャムを塗りまくりおかずも大量に食べていた。小脇にポテトチップスを置いて。
すみれも、京香ちゃんも太郎も皆が笑顔で食事を終えた。
そして、花音ちゃんの提案通り午後からは雪遊びをすることにした。一旦皆それぞれの部屋に戻り雪遊びの準備開始だ。
楽しく、皆と笑いあっていると、あの子の『未央ちゃん』と囁く声が夢の世界の出来事に思えてきた。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
Catastrophe
アタラクシア
ホラー
ある日世界は終わった――。
「俺が桃を助けるんだ。桃が幸せな世界を作るんだ。その世界にゾンビはいない。その世界には化け物はいない。――その世界にお前はいない」
アーチェリー部に所属しているただの高校生の「如月 楓夜」は自分の彼女である「蒼木 桃」を見つけるために終末世界を奔走する。
陸上自衛隊の父を持つ「山ノ井 花音」は
親友の「坂見 彩」と共に謎の少女を追って終末世界を探索する。
ミリタリーマニアの「三谷 直久」は同じくミリタリーマニアの「齋藤 和真」と共にバイオハザードが起こるのを近くで目の当たりにすることになる。
家族関係が上手くいっていない「浅井 理沙」は攫われた弟を助けるために終末世界を生き抜くことになる。
4つの物語がクロスオーバーする時、全ての真実は語られる――。
さや荘へようこそ!(あなたの罪は何?)
なかじまあゆこ
ホラー
森口さやがオーナーのさや荘へようこそ!さや荘に住むと恐怖のどん底に突き落とされるかもしれない!
森口さやは微笑みを浮かべた。 上下黒色のスカートスーツに身を包みそして、真っ白なエプロンをつけた。 それからトレードマークの赤リップをたっぷり唇に塗ることも忘れない。うふふ、美しい森口さやの完成だ。 さやカフェで美味しいコーヒーや紅茶にそれからパンケーキなどを準備してお待ちしていますよ。 さやカフェに来店したお客様はさや荘に住みたくなる。だがさや荘では恐怖が待っているかもしれないのだ。さや荘に入居する者達に恐怖の影が忍び寄る。 一章から繋がってる主人公が変わる連作ですが最後で結末が分かる内容になっています。
地獄の上司
マーベル4
ホラー
美希25歳は新しい就職先が決まりなんとなくホッとしていたが
一つ気になることがあった
短期間でやめてしまう人が多いということだった
美希が思っていたことはそうかるいことではなかった
「まさか上司しなわけないか」とつぶきやく
美希は前の職場で上司に悪口やなんとなく合わなかった
のでやめたのだ
そのせいか上司との関係にトラウマができてしまった
その原因がわかるにつれ美希は残酷な被害に襲われる
一体なにが原因なのか...
次は私の番なのかもしれない
怖いのはお化けてはなく人間
人間関係の怖さを描いた短編ホラー小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
オレンジ色の世界に閉じ込められたわたしの笑顔と恐怖
なかじまあゆこ
ホラー
恐怖の同窓会が始まります。
オレンジ色の提灯に灯る明かりが怖い! 泊まりの同窓会に行った亜沙美は……ここから抜け出すことが出来るのか!帰れるの?
東京都町田市に住んでいる二十五歳の亜沙美は最近嫌な夢を見る。 オレンジ色の提灯に明かりがぽつんと灯りオレンジ色の暖簾には『ご飯屋』と書かれた定食屋。 包丁を握るわたしの手から血がぽたりぽたりと流れ落ちる。この夢に何か隠れているのだろうか? 学生時代のわたしと現在のわたしが交差する。学生時代住んでいたあるのは自然だけの小さな町に同窓会で泊まりで行った亜沙美は……嫌な予感がした。 ツインテールの美奈が企画した同窓会はどこか異様な雰囲気が漂っていた。亜沙美に次々恐怖が迫る。 早く帰りたい。この異様な世界から脱出することは出来るのか。 最後まで読んで頂けるとわかって頂けるかもしれないです。 よろしくお願いします(^-^)/
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる