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真実とは恐ろしいもの
悪魔
しおりを挟む今は朝のはずなのに、空が真っ暗になり稲光が走った。
暗い闇の中にピカピカピカピカと稲光が走り、ゴーゴーゴーゴーゴーと凄まじい音が鳴り響いた。
こ、これは何なの?
何が起こっているの?
『史砂、ではでは、先ずは、俺が一番言いたいことの前に余興をしてやろう』
そう言ってカラスは、くちばしをクイクイとさせた。
カラスは、話を始めた。
『幼い日の史砂とお前のお兄ちゃんは無邪気な悪魔だった。いいか、悪魔は俺じゃなくてお前の達の方なんだからな!』
カラスの鋭い声が、境内に響き渡った。
わたしとお兄ちゃんが悪魔だなんてそんな……。
カラスは低くてよく通るその声で、話を続けた。
その日は、雨が降りだしそうな空だった。
丸顔で可愛らしくて真っ白ワンピースがよく似合う史砂と、少し長めの前髪が目にかかる半ズボン姿の史敏 少年は、無邪気に歩いていた。
だけど、コイツらは、無邪気な仮面を被った悪魔だった。
『お兄ちゃん、あれ何かな?』
史砂は、可愛らしい笑顔で樹木に作られた俺達の巣を指差して言った。
『なんだろうね? 鳥の巣みたいだね。卵があるね』
史敏は、史砂が指差した、俺達の卵が入っている巣を眺めながら言った。
『わたし、巣の中にある卵がほしいよ』
無邪気な仮面を被った悪魔の史砂が言った。
『よし、取ってやるぞ!』
悪魔の少年史敏は、手に持っていたビニール傘で、俺達が入っていた巣を地面に叩き落とした。
それを見た無邪気な仮面を被った悪魔の史砂は、『さすが、お兄ちゃん』とパチパチと拍手をした。
そして。
そして、史砂お前は、俺達の卵を無惨にも、そう無惨にも。
『可愛らしい卵だね』と可愛らしく微笑んだかと思うと、物の見事に、無邪気な仮面を被った悪魔の史砂は、お前は俺達の卵を三個とも……。
ぽーいと投げた。空中に俺達の卵が舞ったかと思うと、その俺達の卵は、地面落ちて割れた。
俺達の命を史砂は、一瞬にして奪い去ったのだ。
史砂、お前はな、本物の悪魔なんだ。
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