65 / 83
カラスと日記帳
カラスとお兄ちゃんと日記帳
しおりを挟むなんだって言うのだろうか? 『自分で考えるんだな』とは何?
わたしとカラスの間に何かがあるとでも言いたいのだろうか?
頭の中に疑問符が溢れかえる。
だけど、とりあえず助かった。机の上にあるカッターナイフを見てわたしは身震いをした。
もう少しで自分の喉を突き刺してしまうところだった。考えると恐ろしいことだ。血がどばどば溢れて、駄目だ想像をすると倒れてしまいそうだ。下手すると今頃血の海だったかもしれない。
わたしはバクバクする心臓に手を当てて深呼吸をした。
それから、畳の上に転がっている猫の鞄からお兄ちゃんの日記帳を取り出した。
読む気力も失いかけていたけれど、気持ちを切り替えて読もうと思う。
わたしは、お兄ちゃんの日記帳を開いた。
そして、ぱらぱらとページを捲った。
○月○日
暫くの間、日記は書いていなかった。久しぶりにこの日記帳を開いて俺はペンを走らせた。
俺は、自分とそっくりなあの男の子を探して歩いた。
この前あの男の子を見かけた隣町のマックにも寄ってみたけれど、あの日以来あの男の子を見かけてはいなかった。
それから、史砂にそっくりな女の子も見かけてはいなかった。
やみくもに探して見つからないと思う。
もう探すのはやめようかな……。
それに、本音を言うとやっぱりちょっと怖い。
○月○日
俺の前に一羽のカラスが現れた。
そのカラスは黒くて黒くてそれは真っ黒なカラスだった。まあ、カラスなんだから黒くて当たり前だとは思うんだけど……。
ただ、このカラスは真っ黒なだけではなくて、なんて言ったらいいのか、黒いオーラとでもいうのか異様な雰囲気を漂わせていたのだ。
俺の前に現れたそのカラスを見た瞬間、背筋がゾクゾクとし、その場から逃げ出してしまいたいほどの恐怖を感じた。
カラスのつぶらな瞳が俺をじっと見ている。カラスのその瞳から目を逸らそうとするが、なぜだか目を逸らすことが出来ない。
何故なんだ。カラスが食い入るように俺を見る。カラスが一歩俺に近づいてくる。
俺は後退りをする。
すると、カラスがまた一歩俺に近づいてくる。
俺は後退りをする。
カラスがまた一歩俺に近づいてくる。
なんなんだよ? このカラスは何だっていうんだよ。
俺は怖くて息も出来ない。
カラスの目は俺を恨んでいるようなそんな目にも見えた。そして、カラスはカーカーッと鳴いた。
カーカーッカーカーッカーカーッ。
「なんか、俺に言いたいことがあるのか?」
俺は声を絞り出すようにして尋ねた。
カラスは俺の言葉を無視して、バサバサと飛んだかと思うと、あっ、と思ったその時には既に、俺の顔を足で蹴飛ばした。
「痛っ」と声が出てしまった。
俺は恐怖で逃げようとするけれど、カラスはバサバサと飛びそして、もう一度俺を狙いバサバサと物凄い勢いで飛んできた。
飛んできたカラスは、俺のおでこをその足で蹴り上げた。
「何をするんだよ。くそカラス」
カーッガァガァカー!!
俺の言葉が分かるのかカラスは威嚇しているかのように鳴く。
いや、これは威嚇というよりも俺を攻撃しようとしている鳴き声だ。
俺は恐ろしくなり走り出した、だけど俺の後を空を飛びながら追いかけてくるカラス。
これは、ちょっとヤバイかも。
俺は走って逃げるが、カラスは空を飛び追いかけてくる。逃げても逃げても追いかけてくる。
「空を飛んでずるいぞ!」
俺は走りながらカラスに向かって叫んだ。
カラスは俺が叫んでも気にすることもなく追いかけてくる。
俺は、あまりにも頭にきて道端に落ちている小石を拾いカラスに向かって投げた。
ガァカーッカーッ!!
カラスは、凄まじい声で鳴いた。
俺が投げた小石はカラス当たりそうになったがカラスは避けた。
そして、カラスは。
「許さんぞ」
カラスは喋った。
そのカラスの声は低くて良く通る声だった。あまりのことにびっくりした俺は腰を抜かしそうになった。
「お、お前は話ができるのか!」
俺の問いかけにカラスは、
「そうだよ。話せるぞ」と低くて良く通る声で言った。
「そ、そうなのかよ、そ、それで何を許さないんだ?」
「覚えていないのか……」
カラスの声は地面の奥から這い上がってくるようなそんな声だった。
「覚えていないとは何がだ?」
このカラスはなんのことを言っているんだ?
「そうだよな、お、ぼ、え、て、いないよなーーーーーー」
カラスの声は大地を切り裂くような声だった。地面から這い上がってくるようなその声はあまりにも恐ろしくて俺を恐怖に陥れた。
グウァーカーッカーッカーッー
カラスは鳴いたかと思うと、バサバサバサバサと飛び背後から俺の頭を足で蹴り上げた。
俺はカラスに蹴られた勢いで、体が前に傾き両手を突いて倒れかかった。
そんな俺にカラスは容赦なくもう一度足で蹴り俺の頭を踏みつけた。
「何をするんだよ!」
俺は怒りの声を上げた。
「それは、こっちの台詞だな」とカラスは、言った。
ーーーーー
わたしは、ここまで読んでドキドキが止まらなくなってきた。お兄ちゃんの日記帳を持つ手にも自然に力が入る。
お兄ちゃんは、わたしと同じ目に遭っている。そして、カラスがお兄ちゃんに言った言葉が気になる。
カラスは、『許さんぞ』、『おぼえてないよな』、『こっちの台詞だ』と言った。
それから、低くて良く通る声と書いてある。これは、間違いない、わたしを襲うあのカラスとまったく同じカラスだ。
そう言えば、カラスはわたしに、『史砂自分で考えるんだな』と言った。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
【完】ことうの怪物いっか ~夏休みに親子で漂流したのは怪物島!? 吸血鬼と人造人間に育てられた女の子を救出せよ! ~
丹斗大巴
児童書・童話
どきどきヒヤヒヤの夏休み!小学生とその両親が流れ着いたのは、モンスターの住む孤島!?
*☆* *☆* *☆* *☆* *☆* *☆* *☆*
夏休み、家族で出掛けた先でクルーザーが転覆し、漂流した青山親子の3人。とある島に流れ着くと、古風で顔色の悪い外国人と、大怪我を負ったという気味の悪い執事、そしてあどけない少女が住んでいた。なんと、彼らの正体は吸血鬼と、その吸血鬼に作られた人造人間! 人間の少女を救い出し、無事に島から脱出できるのか……!?
*☆* *☆* *☆* *☆* *☆* *☆* *☆*
家族のきずなと種を超えた友情の物語。
わたし雑草がぼうぼうと生えているおばあちゃんの家にお邪魔します!(猫と不思議な生き物が住みついています)
なかじまあゆこ
児童書・童話
猫好きな小鳥浜ことりが最近気になるのは雑草がぼうぼうに生えているおばあちゃんの家だ。
その家に大好きな猫が通っているのを見かけめちゃくちゃ興味を持っていた。
そんなある日、猫と遊んでいると、その家に住むおばあちゃんに声を掛けられて。
小鳥浜ことり小学五年生と幼なじみの紫美紀香と町田結太におばあちゃんと猫。それからちょっと不思議なあやかしの物語です。
よろしくお願いします(^^)/
ひみつを食べる子ども・チャック
山口かずなり
児童書・童話
チャックくんは、ひみつが だいすきな ぽっちゃりとした子ども
きょうも おとなたちのひみつを りようして やりたいほうだい
だけど、ちょうしにのってると
おとなに こらしめられるかも…
さぁ チャックくんの運命は いかに!
ー
(不幸でしあわせな子どもたちシリーズでは、他の子どもたちのストーリーが楽しめます。 短編集なので気軽にお読みください)
下記は物語を読み終わってから、お読みください。
↓
彼のラストは、読者さまの読み方次第で変化します。
あなたの読んだチャックは、しあわせでしたか?
それとも不幸?
本当のあなたに会えるかもしれませんね。
おねしょゆうれい
ケンタシノリ
児童書・童話
べんじょの中にいるゆうれいは、ぼうやをこわがらせておねしょをさせるのが大すきです。今日も、夜中にやってきたのは……。
※この作品で使用する漢字は、小学2年生までに習う漢字を使用しています。
霊能者、はじめます!
島崎 紗都子
児童書・童話
小学六年生の神埜菜月(こうのなつき)は、ひょんなことから同じクラスで学校一のイケメン鴻巣翔流(こうのすかける)が、霊が視えて祓えて成仏させることができる霊能者だと知る。
最初は冷たい性格の翔流を嫌う菜月であったが、少しずつ翔流の優しさを知り次第に親しくなっていく。だが、翔流と親しくなった途端、菜月の周りで不可思議なことが起こるように。さらに翔流の能力の影響を受け菜月も視える体質に…!
日本ボカシ話
昆布海胆
児童書・童話
むか~しむかし、あるところにお爺さんとお婆さんが暮らしておりました。
「また都に鬼が出たそうじゃ」
「あら怖いですね~」
仲の良いお爺さんとお婆さんはいつもの世間話をした後、支度をして出発しました。
お爺さんは山へ芝刈りに、お婆さんは川へ選択に行きました。
お婆さんが川で選択をしていると上流から大きな昆布が・・・
こんぶらこ・・・ひっきこもり・・・こんぶらこ・・・ひっきこもり・・・
と流れてきました。
お婆さんは目に装着していた装置のボタンを押します。
ピピピピピ・・・ピー!
「戦闘能力たったの5か・・・ゴミめ」
昆布はそのまま川を流れて行きました。
昆布が川を下っていると一緒に1つのお椀が流れているのに気が付きます。
良く見るとお椀の中には身の丈1寸程の男の子が入っていました。
「この世の全ての食材に感謝を込めて、いただきます」
昆布は喰われてなるものかと逃げるように川を更に下流へと流れていきました。
やがて昆布は海へと辿り着き海岸へ流れ着きました。
するとそこには海を眺めながら唖然と立ち尽くす青年の姿があります。
青年は脇に抱えた玉手箱をゆっくりと下へ降ろしてその封を切ります。
するとその玉手箱からは突如白い煙が発生し青年の体を包み込みます。
「ばけらった!」
その白い煙に包まれた青年は叫び声と共にその姿を老人へと変貌させました。
老人はプルプルした手付きで海岸に打ち上げられた昆布を手にし家へと帰りました。
そしてお爺さんはそのまま帰らぬ人となりました。
昆布がその家で乾燥させられている間に夫婦と兄妹がその家に住み着きました。
ですがその家族は貧乏で明日食べる食料にも困る生活を送っておりました。
ある日、子供たちが寝静まった頃に母親は言いました。
「二人を山へ捨てましょう・・・」
翌日、兄妹を連れて山へ出かけた家族。
兄は母親の言動に違和感を覚えていました。
その為に兄は帰り道が分からなくならない様に家にあった昆布を持ち出して少しずつ千切って道標に残していきました。
その昆布の欠片を道標に兄妹は無事に家へと帰宅します。
その兄妹の名前は・・・
「その妹があの歌手なのさ」
テレビに映るグレイと言うグループの歌手を指差して王子様は姫に教えます。
どう見ても男にしか見えないその人物とは・・・
グレイのテルであったとさ・・・
めでたしめでたし・・・
宝石のお姫さま
近衛いさみ
児童書・童話
石の国に住むお姫さま。誰からも慕われる可愛いお姫さまです。宝石が大好きな女の子。彼女には秘密があります。石の町の裏路地にある小さな宝石屋さん。お姫さまは今日も城を抜け出し、宝石店に立ちます。
宝石の力を取り出せる不思議な力を持ったお姫さまが、様々な人たちと織りなす、心温まる物語です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる