61 / 83
カラスと日記帳
休日
しおりを挟む
今日は休日で学校は休みだ。
何もやる気がおきないので一日中ごろごろしていようかなとも思ったけれど、眠たくもないし眠れないので、わたしは むくりと起き上がった。
お気に入りの猫の鞄にお兄ちゃんの日記帳をいつでも読めるように入れた。
適当にその辺りをブラブラしようかなと思い、一階に下りる。
「あら、史砂ちゃん出かけるの?」
お母さんは雑巾を手に持っている。掃除中だったみたいだ。
「うん、ちょっとお菓子でも買いに行こうかな」
「気をつけていってらっしゃい」
お母さんに見送られてわたしは、外に出た。
外に出ると秋の空が高く澄み渡り広がっていた。
綺麗な青空とは対照的にわたしの心は黒々と濁っていた。
猫の鞄の中にはお兄ちゃんの日記帳が入っている。手で触れて日記帳が入っていることを確認する。
わたしは、てくてく適当に歩いた。
お母さんにお菓子でも買いに行って来ると言ったのを思い出した。
この町でお菓子を買えるところといえば近所の商店や小さなスーパーにそれから駄菓子屋さんだ。
駄菓子屋、そうだよ。
駄菓子屋といえば、あの事故があった日にお兄ちゃんと一緒に行こうとした、駄菓子屋を思い出した。
あの事故を思い出すと胸がきゅっと痛くなった。
確か、あの事故があった日は雲が優勢な空でどんよりとしていた。
それに引き替え今日は、あの時の悲しい空を洗い流すように綺麗に晴れ渡っている。
だけど、わたしの心はあの日の事故を思い出し、気分がすぐれなくなってきた。もう、考えない、考えない。
そう思うけれど、やっぱり考えてしまう。
近くの商店に行こうと思い歩いていたのに、何故か足が勝手に駄菓子屋へと向かっていた。
もうどうしてよ。わたしは、ぽつりと呟いた。
お兄ちゃんが事故にあった現場が見えてきた。そこには、花束やお兄ちゃんが好きだったお菓子やペットボトル等が置かれていた。
まだ、新しいものみたいなので誰かが置いてくれているんだろう。そう思うと胸が熱くなった。
わたしが走ったりしなければ、あんな酷い事故は起こらなかったはずだ。
今更考えても仕方がないと思うのに考えてしまう。自分を責めてしまう。
悔いても悔いても時間は巻き戻されたりはしないのに。
久しぶりにあの駄菓子屋さんでお菓子を買ってみようかなと思ったその時、カラスが一羽飛んできた。
あっ、カラスがわたしに近づいてきた。
また、あのカラスなの?
やっぱり、あのカラスのようだ。
バサバサバサバサもの凄い勢いで飛んできた。そして、前足でわたしのおでこを蹴飛ばした。
「痛いよ、止めてよ」わたしは叫んだ。
わたしが叫んでもそれでもきっと攻撃してくるかと思ったのにカラスはバサバサと飛び去った。
なんだって言うのよ。あんなカラスなんて気にしない、気にしない。
何もやる気がおきないので一日中ごろごろしていようかなとも思ったけれど、眠たくもないし眠れないので、わたしは むくりと起き上がった。
お気に入りの猫の鞄にお兄ちゃんの日記帳をいつでも読めるように入れた。
適当にその辺りをブラブラしようかなと思い、一階に下りる。
「あら、史砂ちゃん出かけるの?」
お母さんは雑巾を手に持っている。掃除中だったみたいだ。
「うん、ちょっとお菓子でも買いに行こうかな」
「気をつけていってらっしゃい」
お母さんに見送られてわたしは、外に出た。
外に出ると秋の空が高く澄み渡り広がっていた。
綺麗な青空とは対照的にわたしの心は黒々と濁っていた。
猫の鞄の中にはお兄ちゃんの日記帳が入っている。手で触れて日記帳が入っていることを確認する。
わたしは、てくてく適当に歩いた。
お母さんにお菓子でも買いに行って来ると言ったのを思い出した。
この町でお菓子を買えるところといえば近所の商店や小さなスーパーにそれから駄菓子屋さんだ。
駄菓子屋、そうだよ。
駄菓子屋といえば、あの事故があった日にお兄ちゃんと一緒に行こうとした、駄菓子屋を思い出した。
あの事故を思い出すと胸がきゅっと痛くなった。
確か、あの事故があった日は雲が優勢な空でどんよりとしていた。
それに引き替え今日は、あの時の悲しい空を洗い流すように綺麗に晴れ渡っている。
だけど、わたしの心はあの日の事故を思い出し、気分がすぐれなくなってきた。もう、考えない、考えない。
そう思うけれど、やっぱり考えてしまう。
近くの商店に行こうと思い歩いていたのに、何故か足が勝手に駄菓子屋へと向かっていた。
もうどうしてよ。わたしは、ぽつりと呟いた。
お兄ちゃんが事故にあった現場が見えてきた。そこには、花束やお兄ちゃんが好きだったお菓子やペットボトル等が置かれていた。
まだ、新しいものみたいなので誰かが置いてくれているんだろう。そう思うと胸が熱くなった。
わたしが走ったりしなければ、あんな酷い事故は起こらなかったはずだ。
今更考えても仕方がないと思うのに考えてしまう。自分を責めてしまう。
悔いても悔いても時間は巻き戻されたりはしないのに。
久しぶりにあの駄菓子屋さんでお菓子を買ってみようかなと思ったその時、カラスが一羽飛んできた。
あっ、カラスがわたしに近づいてきた。
また、あのカラスなの?
やっぱり、あのカラスのようだ。
バサバサバサバサもの凄い勢いで飛んできた。そして、前足でわたしのおでこを蹴飛ばした。
「痛いよ、止めてよ」わたしは叫んだ。
わたしが叫んでもそれでもきっと攻撃してくるかと思ったのにカラスはバサバサと飛び去った。
なんだって言うのよ。あんなカラスなんて気にしない、気にしない。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
【完】ことうの怪物いっか ~夏休みに親子で漂流したのは怪物島!? 吸血鬼と人造人間に育てられた女の子を救出せよ! ~
丹斗大巴
児童書・童話
どきどきヒヤヒヤの夏休み!小学生とその両親が流れ着いたのは、モンスターの住む孤島!?
*☆* *☆* *☆* *☆* *☆* *☆* *☆*
夏休み、家族で出掛けた先でクルーザーが転覆し、漂流した青山親子の3人。とある島に流れ着くと、古風で顔色の悪い外国人と、大怪我を負ったという気味の悪い執事、そしてあどけない少女が住んでいた。なんと、彼らの正体は吸血鬼と、その吸血鬼に作られた人造人間! 人間の少女を救い出し、無事に島から脱出できるのか……!?
*☆* *☆* *☆* *☆* *☆* *☆* *☆*
家族のきずなと種を超えた友情の物語。
わたし雑草がぼうぼうと生えているおばあちゃんの家にお邪魔します!(猫と不思議な生き物が住みついています)
なかじまあゆこ
児童書・童話
猫好きな小鳥浜ことりが最近気になるのは雑草がぼうぼうに生えているおばあちゃんの家だ。
その家に大好きな猫が通っているのを見かけめちゃくちゃ興味を持っていた。
そんなある日、猫と遊んでいると、その家に住むおばあちゃんに声を掛けられて。
小鳥浜ことり小学五年生と幼なじみの紫美紀香と町田結太におばあちゃんと猫。それからちょっと不思議なあやかしの物語です。
よろしくお願いします(^^)/
日本ボカシ話
昆布海胆
児童書・童話
むか~しむかし、あるところにお爺さんとお婆さんが暮らしておりました。
「また都に鬼が出たそうじゃ」
「あら怖いですね~」
仲の良いお爺さんとお婆さんはいつもの世間話をした後、支度をして出発しました。
お爺さんは山へ芝刈りに、お婆さんは川へ選択に行きました。
お婆さんが川で選択をしていると上流から大きな昆布が・・・
こんぶらこ・・・ひっきこもり・・・こんぶらこ・・・ひっきこもり・・・
と流れてきました。
お婆さんは目に装着していた装置のボタンを押します。
ピピピピピ・・・ピー!
「戦闘能力たったの5か・・・ゴミめ」
昆布はそのまま川を流れて行きました。
昆布が川を下っていると一緒に1つのお椀が流れているのに気が付きます。
良く見るとお椀の中には身の丈1寸程の男の子が入っていました。
「この世の全ての食材に感謝を込めて、いただきます」
昆布は喰われてなるものかと逃げるように川を更に下流へと流れていきました。
やがて昆布は海へと辿り着き海岸へ流れ着きました。
するとそこには海を眺めながら唖然と立ち尽くす青年の姿があります。
青年は脇に抱えた玉手箱をゆっくりと下へ降ろしてその封を切ります。
するとその玉手箱からは突如白い煙が発生し青年の体を包み込みます。
「ばけらった!」
その白い煙に包まれた青年は叫び声と共にその姿を老人へと変貌させました。
老人はプルプルした手付きで海岸に打ち上げられた昆布を手にし家へと帰りました。
そしてお爺さんはそのまま帰らぬ人となりました。
昆布がその家で乾燥させられている間に夫婦と兄妹がその家に住み着きました。
ですがその家族は貧乏で明日食べる食料にも困る生活を送っておりました。
ある日、子供たちが寝静まった頃に母親は言いました。
「二人を山へ捨てましょう・・・」
翌日、兄妹を連れて山へ出かけた家族。
兄は母親の言動に違和感を覚えていました。
その為に兄は帰り道が分からなくならない様に家にあった昆布を持ち出して少しずつ千切って道標に残していきました。
その昆布の欠片を道標に兄妹は無事に家へと帰宅します。
その兄妹の名前は・・・
「その妹があの歌手なのさ」
テレビに映るグレイと言うグループの歌手を指差して王子様は姫に教えます。
どう見ても男にしか見えないその人物とは・・・
グレイのテルであったとさ・・・
めでたしめでたし・・・
ひみつを食べる子ども・チャック
山口かずなり
児童書・童話
チャックくんは、ひみつが だいすきな ぽっちゃりとした子ども
きょうも おとなたちのひみつを りようして やりたいほうだい
だけど、ちょうしにのってると
おとなに こらしめられるかも…
さぁ チャックくんの運命は いかに!
ー
(不幸でしあわせな子どもたちシリーズでは、他の子どもたちのストーリーが楽しめます。 短編集なので気軽にお読みください)
下記は物語を読み終わってから、お読みください。
↓
彼のラストは、読者さまの読み方次第で変化します。
あなたの読んだチャックは、しあわせでしたか?
それとも不幸?
本当のあなたに会えるかもしれませんね。
おねしょゆうれい
ケンタシノリ
児童書・童話
べんじょの中にいるゆうれいは、ぼうやをこわがらせておねしょをさせるのが大すきです。今日も、夜中にやってきたのは……。
※この作品で使用する漢字は、小学2年生までに習う漢字を使用しています。
幽霊鬼ごっこ
西羽咲 花月
児童書・童話
このキズナ小学校には「幽霊鬼ごっこ」の噂がある
放課後になると学校のどこかで幽霊との鬼ごっこが始まって
それは他者には見えないらしい
そんな噂がまさか本当だったなんて!?
白いきりんの子
青井青/堀由美(drop_glass)
児童書・童話
憧れのあの子の声を聴きながら、『僕』が人として生きていた中学三年の春、世界は崩壊した。この世から生き物はいなくなったのだ。
神様は、新しい世を創造した。次の世の支配者は人ではない。動物だ。
『僕』は人間だったころの記憶を僅かに持ち、奇妙な生き物に生まれ変わっていた。
しかしほかの動物とは違う見た目を授かって生まれたことにより、生まれてすぐにバケモノだと罵られた。
動物は、『僕』を受け入れてはくれない。
神様は、心無い動物たちの言葉に一粒の涙を流した。そして動物の世には、終わらない冬が訪れるのだった。
『僕』は知っている。
神様を悲しませたとき、この世は崩壊する。雪が大地を覆い、この世は再び崩壊へと歩んでしまった。
そんな時、動物に生まれ変わった『僕』が出会ったのは、人間の女の子だった。そして『僕』はかけがえのない小さな恋をした。
動物の世でバケモノと呼ばれた世界崩壊世代の『僕』は、あの子のために、この世の崩壊を止めることを決意する。
方法は、ただひとつだけある。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる