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英美利ちゃんは好きだけど嫌い
憧れのお姉さんだったけれど
しおりを挟むわたしがまだ小学生の頃英美利ちゃんは中学生だった。わたしにとって英美利ちゃんは可愛くて美人な憧れのお姉さんだった。
お姉ちゃんと違って大人っぽくてキラキラ輝いていて夢の世界からやって来た女の子みたいだった。
羨ましいとか妬みなんかなくて、ただそこにいるだけで華がぱっと咲いたような女の子って本当にいるんだなと思い眺めていた。
そんな英美利ちゃんと同じようにキラキラと輝く一輪の花のような女の子がもう一人いた。それが、森本奈美ちゃんだった。
花で例えると英美利ちゃんが薔薇で、奈美ちゃんはかすみ草のような女の子だった。
英美利ちゃんは真っ赤な薔薇のようにその輝きを見せつけていた。その一方、奈美ちゃんは控え目で目立とうしないけれど、可愛くて清純でまるで天使のようで英美利ちゃんとまた違った魅力があった。
わたしは、英美利ちゃんも奈美ちゃんもどっちも大好きだった。
それなのに……。
学生時代、わたしのお姉ちゃんと英美利ちゃんは、奈美ちゃんに嫉妬をして意地悪なことをしていたのだった。
「ねえ、英美利ちゃん。あなたは何でも持っているのにどうしてお姉ちゃんと一緒になって奈美ちゃんに意地悪なことをしたのかな?」
わたしは、写真の英美利ちゃんに話しかける。英美利ちゃんの表情は変わることなくキラキラと輝いている。
「お姉ちゃんやわたしは、英美利ちゃんのようにお金も美貌も才能も何も持っていないんだよ。英美利ちゃんは元々お金持ちのお嬢さんだったでしょ」
写真の英美利ちゃんは自信満々の表情で微笑んでいた。その笑顔からトゲが飛んできてわたしの胸にグサリと刺さったように感じた。
お姉ちゃんがしたことは勿論いけないことだけど、何となく気持ちは分かる。
だけど、何でも待っている英美利ちゃんが奈美ちゃんを羨ましく思う気持ちがわたしには分からない。
「英美利ちゃん、分からないよ」
わたしは、いつまで遠い過去に縛られているのだろう。それは、お姉ちゃんがあんなのだからだ。
なんて、考えていると、
「成田さ~ん、おはようございます」と雪本さんの元気な声が聞こえてきた。
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