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お姉ちゃんと英美利

2 困るどうしたらいいの

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「ねえ、葉月ちゃんどうして答えないのよ!」

  お姉ちゃんは怖い目つきでわたしを睨む。

  だって、お姉ちゃんは精神的に病んでいるんだよ。だから、お母さんも心配しているんだよだなんてとてもじゃないけど言えないよ。

「お姉ちゃん、お茶淹れるから取り合えずテレビでも見てゆっくりしていてね」

「あら、このバナナ美味しいね。うまうま~」

  お姉ちゃんは、わたしの話なんてまるで聞いていない。人のバナナを勝手に食べているんだから。そうだ、今のうちにお母さんに電話をしておかなくては。

  わたしは鞄からスマホを取り出し電話をした。お母さんはツーコールで電話に出た。

「葉月ちゃん、順子がまだ帰ってこないのよ!」電話に出るなりお母さんは興奮した声で話す。

「あ、お母さん、今ね、わたしの家にお姉ちゃんが居るよ。だから安心してね」とわたしはお姉ちゃんに聞こえないように小声で話した。

   チラリと居間を見ると、

  お姉ちゃんはバナナを食べながらテレビを見ているから気づいてはいないようだ。

  
 そして、お母さんの「葉月ちゃん、お姉ちゃんを頼んだわよ」と言う声を聞きわたしは電話を切った。

  それからわたしはお茶の用意をした。お姉ちゃんがどうしてわたしの家に来たのかよく分からないけれど、とにかく落ち着いてもらわなくてはならない。

  わたしは、お盆に二人分のティーカップとクッキーを載せて居間に運んだ。

「お姉ちゃんレモンティーだよ。あ、クッキーもあるから食べてね」

  わたしは笑顔を作りお姉ちゃんの目の前に湯気の立った紅茶のティーカップとクッキーを置いた。

  お姉ちゃんは何も言わずにクッキーに手を伸ばして口に運んだ。

「美味しい」

  お姉ちゃんは嬉しそうにクッキーを頬張った。そんなお姉ちゃんの様子を見たわたしはほっとしてクッキーに手を伸ばした。

  うん、甘すぎず美味しいな。お姉ちゃんも落ち着いてきたみたいだし良かった。

  なんてほっとしたその時、

  ガッシャーンと大きな音が部屋中に響き渡った。

  一瞬何が起きたのか分からなかった。

  恐る恐る音がした方向を見るとお姉ちゃんの足下に真っ二つに割れたティーカップが転がっていた。

「お姉ちゃん、どうしたの?」
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