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アルバイトと美衣佐とわたしの家

2 美衣佐Side

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美衣佐ちゃんへ。

  美衣佐ちゃん、こんばんは。

  突然ですがわたしの家に遊びに来てください。来週の日曜日か再来週の日曜日はどうかな?  良かったら是非来てね。

  それと、気を悪くしたらごめんね。先に謝っておきます。

  美衣佐ちゃんには薔薇の花が咲き誇る豪邸なんて必要ないと思います。だって、その存在そのものが薔薇の花のようなのだから。

  わたしは、美衣佐ちゃんが幸せだったらそれが一番だと思うよ。美衣佐ちゃんの心がキラキラと輝いているのであれば。

  ねっ、美衣佐ちゃんは素敵なお兄さんもいるし幸せだよね。それに、わたしも美衣佐ちゃんのことを大切な友達だと思っているよ。

  では、またね。

  当近海代より。

  わたしは、当近さんの書いた交換日記を読んだ。その文字をじっと眺めた。きっと、当近さんは澄んだ心を持っているのだろう。わたしとは違う、そうわたしとは……。

「おい、美衣佐アップルティーと生クリームのたっぷり入っているイチゴシュークリームとスクランブルエッグとハムのトーストだよ」

  お兄ちゃんがわたしの背中に声をかけてきた。わたしは慌てて交換日記を閉じ振り返る。 

「お待たせ、温かいうちに食べるんだよ」

  お兄ちゃんは優しい声でそう言ってテーブルに湯気の立つアップルティーと生クリームがたっぷり入っているイチゴのシュークリームとスクランブルエッグとハムのトーストを置いた。

「お兄ちゃん、ありがとう」

  わたしは幸せなのかな?  ねえ、お兄ちゃん、それから当近さん。教えて。



  スクランブルエッグハムトーストは、ふわふわとろとろのスクランブルエッグが口の中でとろけるようでケチャップとハムとも良く合い美味しかった。

  美味しい食べ物を食べていると幸せだなと感じる。わたしは不幸なんかじゃないと思う。

  だけど、あの時見たノートに記された文字を思い出すともう駄目だ。びっくりして呼吸が止まりそうになった。

  わたしは、気持ちを落ち着けようと生クリームがたっぷり入っているイチゴシュークリームを口に運ぶ。

  たっぷりの生クリームとほんのりと甘酸っぱいイチゴクリームが良く合いわたしの心を落ち着かせた。

  ふぅーと息を吐きアップルティーを飲んでいると、

「うふふ、美衣佐ちゃんの食べっぷり好きだな」と背後から声が聞こえてきた。

  この声は店長の美間さんだ。

  振り返ると美間さんがニコニコと微笑みを浮かべ立っていた。

「あ、美間さん、こんばんは」
「こんばんは、美衣佐ちゃん。そうだ、ルイボスティーわたしの奢りよ飲んでね」

  美間さんはニコニコと微笑みを浮かべ半分になった生クリームがたっぷりのイチゴシュークリームのお皿の横にルイボスティーを置いた。

「わ~い!  美間さん、優しいありがとう」

  さっそくルイボスティーに口をつけると体がぽかぽかと暖かくなった。
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