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怪しげな視線

わたしと美衣佐は

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 翌朝、学校に行くと美衣佐が「当近さん、おはよう~はい、交換日記だよ」と言って交換日記を渡してくれた。

 わたしは受け取り交換日記を通学カバンに仕舞う。

 学校では美衣佐と席では話すけれど、行動を共にすることは特になかった。

 美衣佐には華やかな似たタイプの女友達がいた。わたしは特に仲の良い子はいなかったけれど、お弁当はおかっぱ頭が可愛らしい文香ふみかちゃんと食べていた。

 お昼休み。わたしの席にやって来た文香ちゃんと美衣佐の机をくっつけお弁当箱を広げ食べ始めた。

「いただきま~す」とわたしと文香ちゃんは手を合わせお箸を手に取る。

「あ、タコさんウインナーだ。可愛いね」

 文香ちゃんがわたしのお弁当箱に入っているタコさんウインナーを指差して言った。

「うん、ありがとう」と言いながらわたしはタコさんウインナーを口に運びながら、美衣佐がお弁当を食べている席に視線をチラリと向けた。

 美衣佐は楽しそうに笑いながらみんなとお弁当を食べていた。


 タコさんウインナーを口に放り込みながらわたしはチラチラと美衣佐を盗み見てしまう。

 美衣佐は人を惹きつける華やかさと艶やかさが備わっていてそこにいるだけでぱっと花が咲いたようなオーラを放つ。

 女子も男子も美衣佐に憧れを持ってしまうだろう。

 羨ましいというかなんだか平凡なわたしとは住む世界が違うなと感じる。そんな美衣佐と交換日記をしていることが不思議でもある。

 ねえ、美衣佐、どうしてわたしを交換日記の相手に選んでくれたの? 隣の席にいる時は近く感じる美衣佐、それが今は遠くの席で他の女の子達と笑顔で話していて遠くに感じる。

「ねえ、海代ちゃん。聞いてるの?」
「ん? えっ?」

 わたしははっと気づき我に返る。そうだった。文香ちゃんとお弁当を食べていたんだった。

「もう、さっきから話しかけているのに」

 文香ちゃんはおにぎりを口に運びながらわたしの顔をじっと見ていた。

「文香ちゃんごめんね。ぼーっとしちゃった。何の話しだった?」

 わたしは顔の前で手を合わせる。

「ただ、お弁当美味しいねって言っただけだよ」
「そっか、うん、タコさんウインナーもコロッケも美味しいよ。文香ちゃんのおにぎりも美味しそうだね」

 わたしは慌てて言った。

 その後はあまり会話が弾まずお昼の時間は終了した。
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