ねえ当近さんちょっとレトロだけどわたしと交換日記をしない？

ねえ当近さんわたしと交換日記をしない？

美衣佐からの交換日記

　美衣佐からの二回目の交換日記。

　当近さん。わたしと交換日記をしてくれてありがとう。

『ねえ、当近さんちょっとレトロだけどわたしと交換日記をしない？」と声をかけた時わたしドキドキしていたんだよ。うふふ、もし断られたらどうしようなんて心配したんだからね。

　でも、こうして当近さんと交換日記ができてとってーもわたしは嬉しいです。

　それはそうと、当近さんも誕生日がクリスマスの十二月二十五日だったなんてびっくりしました。これは奇跡的だよね。

　だって、そうでしょう。同じ時代にこの地球に生まれて同じクラスになり、しかも隣の席になった。それだけでも奇跡的なことだというのに誕生日まで一緒だなんてね。

　運命だったりしてね。えへへ、大袈裟だよね。ただ、めちゃくちゃ嬉しい驚きだったということです。

　でも、当近さんも交換日記に奇跡的だという言葉ではい表せない、巡り合わせを感じたって書いてくれましたね。

　わたし、席替えをして当近さんと隣の席になった時、あ、この子と友達になりたいと思いました。

　当近さんはお姉さんがいるんだね。わたしもお姉さんが欲しかったな。(お兄ちゃんも大好きだけどね)あ、でも、お姉さんと比較されてしまうんだよね……。

　気にすることなんてないと思うよ。当近さんらしくいることが一番かなと思います。

　そろそろバイトに行かなきゃ。遅刻できない。今日はこの辺で。またね、美衣佐より。



　わたしは丸っこくて可愛らしい文字で書かれている美衣佐からの交換日記を読んだ。

　やっぱり美衣佐もわたしと誕生日が同じだと知り奇跡的だと感じたんだねと思った。それもそうだけど、美衣佐がドキドキしていたことに驚いた。

　だって、美衣佐から交換日記をしようと言われて断る人なんていないのではと思うし、あの薔薇のような華やかな笑顔を浮かべる美衣佐は心配なんてしないと思ったのだから。

　やっぱり華やかな人だって不安を感じたりすることもあるんだなと思いながら、わたしは美衣佐の丸っこくて可愛らしい文字をじっと眺めた。

　美衣佐はバイトをしているのかいいな、わたしも高校生になったことだしアルバイトをしてみるのも社会勉強になるかもしれないし、楽しいかもね。

　美衣佐はどんなアルバイトをしているのだろうか。お花屋さんやアパレル店などの店員さんが似合いそうだ。

　わたしは美衣佐の様々な姿を想像してみたけれど、やっぱり赤い薔薇の花に包まれる花屋の店員さんが似合いそうだ。