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テイムしてしまいました

あのパンは

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「おっと、なんだか賑やかになっているね」

 そう言いながらお父さんが厨房から戻ってきた。そして、テーブルに俺達がおかわりをした料理を並べる。

「ちょっと、お父さん。わたしを買い物に行かせてナオート達はご飯なの。ズルいにゃん」

 シロミンはぷくっと頬を膨らませる。

「ああ、ごめんよシロミン。パンが大量に足らなくなってね。そんなに使った覚えはないんだけどな……ちょっと待っててシロミンのご飯も作るからね」

「うん、お父さんありがとうにゃん」

 にっこり笑うシロミンに頷くお父さん。そんな二人のやり取りをぼーっと見ていた俺は、あれ? と思った。パンが大量に足りないってまさか……。

「おい、ゴリーラ」
「ん? なんだナオート?」
「さっき、ネコッタのポシェット型のカバンにパンが大量に入っていただろう?」
「あ!! そう言えば美味しそうなパンがぎっしりと」
「そう、ぎっしりと。ネコッタの奴はやっぱりお客さん用のパンを持ち出したんだな」

 俺はあのぱんぱんに膨れ上がっていたポシェット型のカバンを思い出しふぅーと溜め息をつく。

「困った奴だな。ゴリゴリ~そうだ、ネコッタをテイムしちゃえよ」

「……それができたら苦労しないよ」

「そっか、ナオートは猫科はテイム出来ないんだったけな~」

「ゴリーラ、わざと言ってるよね? 意地悪な奴だよな」

「ふふん、まさかわざとだなんてあるわけないよ」

 なんて言って口笛を吹くゴリーラ。これは絶対わざとだ。

「今に見てろよ。俺はテイマーなんだぜ。猫科もテイムしてみせるぞ」


 と、気合いを入れてみたものの俺はこればっか言ってるな……そんな自分自身が情けなくて悲しくなるし嫌になる。

「おい、ナオート、負けるなよ。頑張れ!」

 ゴリーラはもふもふごわごわのその手で俺の肩をぽんぽんと叩く。

「ありがとうゴリーラ」

 俺は頑張るからねと拳をぎゅっと握る。
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