異世界に召喚された俺はなぜだかゴリラに懐かれました。俺がもふもふしたいのはゴリラじゃない猫だよ（俺って最強なの？）

日本から異世界へ

懐かしき思い出と異世界ならでは

　翌朝、鳥の鳴き声と共に目が冷めた。最近この世界に来る前の夢をよく見る。動物園でじっと、眺めていたゴリラ。そのゴリラの黒茶色の目と俺の目が合った。

　そして。俺とゴリラと家族はこの異世界へモフーによって召喚された。懐かしい夢を見てなぜだか涙がぽろぽろ溢れた。これって思春期かないやいやまた違うかな。

　朝ご飯を食べ終えた俺は学校へ行く前にいつもの場所へ出かける。

　玄関の扉を開けて外に出ると今ではもう見慣れたふわふわもこもこの茅葺き屋根の住宅や石造りの住宅が立ち並び緑豊かな自然が俺におはようと言ってくれている。

　それと。

「ナオートおはよう」
「おはよう」

　俺に笑顔で声を掛けて来るのはゴリラ達だ。俺はゴリラに好かれる能力（才能）を持っているようだ。これは嬉しいと言えるのだろうか。なんか複雑だ。

　それにしてもこの世界はゴリラが普通に歩いてるなと毎度のことだが思う。

「ああ、なんだかな～」

　だって、俺の好きな猫科の動物や猫っぽい魔物はなかなか懐いてくれないんだもんな。

　そんなことを考えながら俺は歩いた。辿り着いたのは……。

『ゴリラのカフェ』とでーんと赤色の文字で書かれた看板が見えて来た。その隣に青色の文字で、「ゴリラ風呂」とでーんと書かれた看板もある。

　俺は先ず『ゴリラのカフェ』の看板の隣にオレンジ色の煉瓦造りの建物にふわふわもこもこの雲みたいな茅葺き屋根がのっかているゴリラカフェの木製の扉を開けた。

「いらっしゃ～い！　おっ！　ナオート」と元気な声が俺を迎え入れてくれた。

「みんな、おはよう……」