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優しい笑顔とその温もり
しおりを挟む今日食べたちらし寿司は今まで生きてきた中でも格別に美味しかった。
「美味しかったよ~ごちそうさま」
わたしは、ちらし寿司を食べ終えお箸をお皿に置く。
「佐波さんのおばあさん、佐波さんに喜んでもらえて良かったですね」
神本さんは口元に手を当ててホッホッと笑った。
「はい、とても嬉しいです」
おばあちゃんは愛情深い笑みを浮かべた。
「佐波ちゃんのおばあちゃんの顔を見ているとわたしも元気になれるよ」
ひよこちゃんはそう言って愛くるしい笑顔を浮かべた。
そんなみんなの笑顔を見ていると嬉しくて幸せで、また涙が出そうになった。
「佐波ちゃんは泣き虫だね」
おばあちゃんがわたしの顔を真っ直ぐ見て言った。
「あはは、そっかな?」
「うふふ、そうよ、泣き虫よ。でも、佐波ちゃんは芯が強いからわたしが心配することはないよね」
「……わたし、ずっとおばあちゃんに頼ってきた。お父さんとお母さんが仕事で忙しくて家に居ないことが多かったけれど、おばあちゃんがいるから安心できたし寂しくなかった」
そうなのだ。おばあちゃんは春の陽だまりのような人だった。わたしは、そのほんわかした優しい空気に包まれて幸せな少女時代を過ごしてきた。
「おばあちゃんもね、佐波ちゃんがいてくれたから笑顔になれたのよ。無邪気な笑顔にどれだけ癒されたことか」
「……おばあちゃん」
わたしとおばあちゃんは見つめ合い、そして、おばあちゃんはわたしをぎゅっと抱きしめた。すると、おばあちゃんからふわふわとした温もりが伝わってきた。
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