座敷童子が見える十四歳のわたしと二十七歳のナオカちゃん

なかじまあゆこ

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わたしと家族と座敷わらし

怒る美鞠

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「みんなでわたしをからかって遊んでいるのかな? 鞠助まで加わっているなんてね」

 お姉ちゃんは鞠助の顔をじっと見てそれからその手に持つお手玉を見た。

「こ、これは違うんだよ」

 鞠助はかなり慌てている。

「違うって言ってもお手玉をぎゅっと握っているのが証拠でしょ」

「いや、ち、違うんだよ‥‥‥」

「はぁ? じゃあどうしてお手玉を持っているの? 鞠助も鞠やナオカちゃんの仲間になったんだね」

「まさか仲間になんてなってないよ」

「あっそ、どっちでもいいけどお手玉遊びしてるよね?」

 お姉ちゃんは軽蔑したように鼻で笑う。

「あ、それは、えっと‥‥‥」

「誰がいたずらしたのか知らないけど、わたしの部屋と廊下にズラズラお手玉を並べナオカちゃんの部屋の扉の前まで並べるなんて悪趣味やめるんだよ」

 お姉ちゃんはふぅーと大きな溜息をつき言った。

「あらあら、美鞠ちゃんってば怒ってる~」

 わたし達はふんふんと鼻歌を歌う座敷童子を見た。

座敷童子はやっぱりお姉ちゃんには見えないらしい。それをいいことに座敷童子はへんてこな歌を歌う。

「美鞠ちゃんは怒りん坊~いつも目を吊り上げている~」

 この歌がお姉ちゃんの耳に届いたらそれこそ目を吊り上げて怒りそうだ。そして、聴こえていたり見えていたらそれはもう鬼の形相になるだろう。

「鞠、わたしの顔を見て何をブツブツ呟いているのかな~?」

 お姉ちゃんは想像していた通り鬼の形相でわたしを見ている。怖すぎるよ~。

「な、何でもないよ」とわたしは怯えながら答えた。

それなのに座敷童子は、「あはは、美鞠ちゃんの顔ってば怖すぎるよ~」と口元に手を当てて楽しそうに笑っているのだから頭にくる。

 わたしはお姉ちゃんに睨まれビクビクしているのに座敷童子は呑気な顔でふんふんと鼻歌なんて歌っているんだもんね。

「ん? 鞠ちゃんどうかしたの?」

 座敷童子はおまけに口笛をぴゅーぴゅーと吹いた。

「座敷童子の奴~」

 わたしは座敷童子をちらりと見て小声で言った。

 座敷童子は素知らぬ顔で口笛を楽しそうに吹き続けている。
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