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わたしと家族と座敷わらし

素直になろうよ

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「外ではってことは家の中では遊ぶの?」

 わたしは嬉しくなり口元に手を当ててうふふと笑った。

「い、いや、誰も家の中で遊ぶとも言ってないぞ」

 鞠助はちょっと怒ったように口を尖らせた。

 わたしは透かさず、「だけど、遊ばないとも言っていないよね」と言う。

「う、うるさいな!」

   鞠助はほんのり頬を赤くして怒っている。

「鞠助ってば、こまたんや座敷童子と遊んであげなよ」

  それまで黙ってコロッケを食べていたナオカちゃんが言った。

「はぁ、遊んであげても……」
「遊んであげても?」
「遊んでもの次の言葉が気になるな~」

 わたしとナオカちゃんは不機嫌そうに顔を歪める鞠助をじっと眺めながら言った。

「あ、遊んであげてもいいかなと思ったけどやっぱりやめておくよ」

「えっ!?  どうして!?」

 わたしとナオカちゃんの声が揃った。

「だって、二人してニヤニヤしてキモイからだよ」

「え~キモイって二回も言われたよ」

「わたしの可愛い顔がキモイとは失礼な」

 ナオカちゃんもぷりぷりと怒っている。

「鞠助君、鞠ちゃんとナオカちゃんと仲良く遊んでごらんなさいよ。座敷童子はなんのことかわからないけれど」

 それまで黙っていたおばあちゃんが微笑みを浮かべながら言った。

「ふん、おばあちゃんがそう言うんだったら遊んでやってもいいぜ」

  鞠助は鼻の穴をぷくっと膨らませ言った。

「わ~い!  遊んでくれるんだ。なんかちょっと鞠助ってば偉そうだけどまあいっか。嬉しいな~」

  だって、今までの鞠助だったら絶対言わないと思われる言葉が聞けたのだから。素直じゃないし憎たらしいけれど許してあげよう。

「わたしも遊んでもらえるんだね~」

  ナオカちゃんも楽しそうに笑った。

「ナオカちゃんは大人なのに情けなくて可哀想だから遊んでやるよ」

  鞠助はふふんと笑う。

「はぁ?  誰が大人なのに情けなくて可哀想なのよ」

  ナオカちゃんはギロギロと鞠助を睨み付けた。

「わっ、ナオカちゃんのその顔めちゃくちゃ怖いぞ」

  鞠助は、おー怖いなと肩を両手で大袈裟に擦りながらナオカちゃんの顔を見て笑った。だけど何となくその笑顔から刺々しさが抜けたようにも感じられたのだ。

  それは座敷童子のお陰なのかな?  また鞠助と姉弟らしくなりたいな。そんなことを考えながらわたしはご飯をぱくぱく食べた。

  その時、「ただいま」と玄関から声が聞こえてきた。

  せっかく楽しくご飯を食べていたのに悪魔の帰宅だよ。
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