座敷童子が見える十四歳のわたしと二十七歳のナオカちゃん

なかじまあゆこ

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わたしと家族と座敷わらし

座敷童子の名前は

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「……わたしの名前は内緒だよ。って言うか座敷童子が名前だよ」

  座敷童子はそう言って笑ったのだけど、なんだか怪しいなと思った。

「ねえ、本当に座敷童子が名前なの?  他に呼び名があるんじゃないの?」

「うふふ、ご想像におまかせするよ~」

  座敷童子は笑いながら鞠をぽんぽんとついた。なんだか誤魔化されたような気もするけれど、まあ、いいか。

「ねえ、鞠ちゃんってばぼーっとしてないで遊ぼうよ」

「あ、うんそうだね。遊ぼっか」

  座敷童子と遊ぶ中学生ってなんだかおかしいなと思いながらわたしは座敷童子の後を追いかけた。

「鞠ちゃんが遊んでくれてわたしは嬉しいな」

  座敷童子は言いながら手に持っていた鞠をぽーんとわたしに向かって投げた。

  わたしは座敷童子に投げられた鞠を受け取りぽーんと投げ返した。その鞠を受け取った座敷童子はぽーんと鞠をこちらに向かって投げた。わたしはその鞠を受け取る。そして、また投げ返した。

  わたし達はしばらくの間鞠を投げ合って遊んだ。わたしには妹がいないのでもし妹がいたらこんな風に遊んだかなと想像するとなんだか楽しくなってきた。

  「さっきね、鞠助もこの神社の前を通ったんだよ」

  座敷童子が鞠をぽーんと高く投げ上げながら言った。

「えっ!  鞠助が通ったの。それであの子どうしたの?」

  わたしは座敷童子が投げた鞠をキャッチしながら聞いた。

「うん、そしたら鞠助はめちゃくちゃ驚いた顔をしたんだよ。失礼しちゃうよ」

「そっか、そうなんだね……」

  そう答えながらも朝からずっと神社に居るんだからびっくりするよねと思った。だけど、座敷童子と遊べばいいのになとも思った。

「そうだよ。ぷんぷんぷりぷりしちゃうよ。しかも遊ぼうって誘ったら塾があるから無理だよって言うんだよ」

  座敷童子は頬を膨らませながらわたしがぽーんと投げた鞠をキャッチしながら言った。

「あはは、鞠助らしいな~」
「うん、でも子供らしくないよ」
「だよね、小学生時代は今だけなのにね」
「勉強が一番だなんてね」

  わたしと座敷童子はそう言って顔を見合わせた。なんだか座敷童子と気が合いそうではないか。

  それからわたしと座敷童子は鞠をぽーん、ぽーんと投げ合って遊んだ。勉強も大切だけど遊びだって大事なんだもんね。

  まあ、わたしの場合もう少し勉強した方がいいのかもしれないけれど。
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